2014年12月14日23時49分
衆院選で与党が大勝する見通しになったことを、各国メディアは速報で伝えた。安倍政権が経済や安全保障政策をさらに推し進める信任を得たという見方の一方で、中国や韓国との摩擦やアベノミクスがはらむリスクを心配する声も出ている。低投票率を背景に、日本の民主主義の行方を懸念する見方もある。
AP通信は「有権者の無関心と野党の弱さが自民党勝利につながった」と報じた。米ウォールストリート・ジャーナル紙は「安倍首相は、経済再生や防衛力強化などの課題を追求するための新たな信任を国民から得た」と伝えた。
中国の国営新華社通信(英語版)は開票開始とほぼ同時に、「自民党と公明党で300議席を超える勢い」と速報。中国国内では安倍政権の行方への関心が高く、衆院選の公示後、選挙戦の様子が連日のように報じられていた。
韓国の聯合ニュースは、安倍政権の「一強独走」体制が長期化する見通しになったと伝えた。
日韓関係に与える影響について、梁起豪(ヤンギホ)・聖公会大教授は朝日新聞の取材に「日本の政治が安定すれば、本来なら韓日関係にいい影響を与えるはずだが、安倍首相が集団的自衛権をめぐる法整備や憲法改正などで自らの路線を強く打ち出せば、中国や韓国と不必要な摩擦を起こす懸念がある」と話した。
ドイツの研究機関「GIGA研究所」アジア部門長のパトリック・ケルナー教授は「強い野党が存在せず、有権者の大半は自民党以外に選択肢がなかった。こうした日本の政治体系は民主主義的に問題がある。個人的に日本の民主主義を懸念している」と語った。信任された形になったアベノミクスについて、ケルナー氏は「この先どのような結果が出るか分からず、大きなリスクもはらむ。失敗すれば、日本経済が崩壊する危険性が強まる」と警告した。
英シェフィールド大のヒューゴ・ドブソン教授は、衆院選の結果について、「特筆すべきは自民人気ではない。戦後最低レベルの投票率に表れた、政治に選択肢を失った国民の失望だ」と話した。
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朝日新聞官邸クラブ
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