7 少し俺の話も聞いて下さい! 2
俺は今、目の前の光景に絶望を感じてます。
今日は俺がショーに出る時の担当をしてくれる人との初顔合わせで学校の方に来てんだけど…
ポッチャリは目は体質だからしょうがない。
仮にも美容学校の生徒だよな? その、髪の毛の色は……まじ残念な昔のヤンキーみたいな金髪。
髪も痛みまくりですよね? メイクも見たまんまと言うか、一本眉の「これからバイクのってふかして来ます!!」的なメイク。
いや、これは俺の目の錯覚だよな? 個性的とはかけ離れてますよね?!
「……あの、参考までにこれまでにやったヘアースタイルとかメイクのカタログありませんか?」
カタログを見せてもらうと、俺の時間は止まった。なんですか? ヤンキーがいっぱい。パンチパーマ。
本当に美容科の学生ですか? モデルをするのはイヤだったけど、この人に何かされるのは本当にイヤだ!! ヤンキーになりたくない!!
俺が俺じゃなくなる。ヤバい、涙出てきそう。え? え? え? 夢ですよね?
「こんな、髪色にしたいと思ってるのよねぇ。それでね、髪型はこっち!!」
その、おかめはカタログの中から摩訶不思議な髪の色の写真を俺に見せる。
ぴ、ぴんくにパンチパーマ越してアイパー。や、やめてくれ……。これでも俺まだ高校生だしそんな頭にしたら補導されるだろ!
第一、デザイン科じゃないから服までは見ないかもしれないけど、その色と合わせる服がないだろ!! 特攻服か?! いや、それですら合わないだろ!!
それに髪型は、服に合わせてなんぼじゃないのか?! じゅんと、のぶに聞いてた話とまったく違う。 これじゃあ、黙って言う事聞いてればいいって状況じゃない。
色々と聞いてみても返ってくる返事はどれも俺にはヤンキー改造計画にしか聞こえない。
ダメだ。俺もぉ、限界だ。この人に俺の頭は触らせてたまるか!!
「美容実習室ありますよね? カラーリング剤とトリートメント貸して頂けますか? そこ行きましょう」
ヤンキーは今日はミーティングだけだよ? と言ってるが、俺のじゃない!! お前のだよ!! 何があってもお前には俺の髪の毛は触らせない。
「そこ、座って。ヤンキー」
「え?」
あ、思わずヤンキーって言っちゃったし。
「私が座るの?!」
そっちに驚いてたのか、ヤンキーは聞こえてなかったみたいだ。
「そう、黙って座って」
もう、こいつに敬語を使うのはやめよう。気使って損したわ。
ヤンキーの髪の毛を取り敢えず、黒に戻そう。痛みすぎて色入れとくと痛みが目立つだろうし。
真っ黒じゃ、ちょっと変か? 光で少し青っぽく見えるようにしたいけど、やり方わかんねぇけどヤンキーに聞いても当てにならない。
ちらっと横を見ると男の人がなんかしてる。
ここの先生か? 俺がこんなんしてたら怒られるかな…。一か八か聞いてみるか。
聞いたみたら、その色を作ってくれるらしい。作り方を見てなさいと言ってカラー番号と配分を教えてくれてる。あ、めもっとこ。
「それにね、あの子。評判そんなよくない子だからあの子を丸め込んで、自分で自分の事やるしかないよ。ヤンキーにされないようにね。悠真くん」
やっぱり……か。ん? 俺の名前知ってる? 気のせいか?
「分からないことは、君だったらニコッと笑って誰かに聞けば教えてもらえそうだから、頑張りなさい」
色出来たから後は自分で。じゃっ!! っと言ってどっかに行ってしまった。
「なぁ、ヤンキーあの今の男の人誰??」
ヤンキーの髪にカラー剤を塗りながら聞いてみる。
「赤木先生だったかしら? 私、実習室とかに来ないからあまり知らない」
あれ? 赤木って、もしかして仁志の父ちゃん? なんだ、ここもグルなのか? でも、あの言い方じゃ俺の勝手にしてもいいって言い方だったよな?
ってか、ヤンキーはなんの為にこの学校に通ってるんですか? 実習室来ないって。
こいつに触られるのはイヤだから、家帰ったらどうするか構想考えるか。
自分で考えてやっていいなら、自分が必要な時にここ来てやればいいな。
「あ、ヤンキー頭洗って来ていいよ。洗い終わってトリートメントしっかりやっといて。終わった頃にまたここ集合な? あ、ついでに、メイクも落として来いよ? その、メイク変だから。俺、資料室行って来る」
俺も自分の事やるから、ヤンキーもそのくらいの事は自分でやってくれ。ってか、ヤンキーをやる必要ないよな? まぁいいや、今日だけはやってやろう。
えーっと、資料室どこだ?
おっ。仁志じゃん。あいつの担当は……。なんだよ!! 俺のとこと違ってまともそうな男じゃんか。
いいなぁ~。あの人だったら、俺も勉強できたかもしんない。それにしても、仁志は開き直ったのか? 髪ちゃんとしてるじゃん。
「悠真さん、なんスか? 俺の事ジッと見て」
「いや、髪型ちゃんとしてるなぁ、と思って見てた」
見てたの気付かれてたか。ああ、そうだ資料室の場所聞かないと。ペコリと仁志の担当に頭を下げる。
「ここ、曲がったらすぐ分かると思うよ」
「ありがとうございます! あ、そうだ。仁志デコが狭いから、もしかしたらセットはデコ出した方がカッコよく見えるかもですよ! じゃっ!!」
余計な事を言うなよ!! って、仁志が騒いでる。なんだよ、デコ出さないつもりだったのか。
って、仁志はともかく、ここの学生に余計な事言ったか?
資料室あったあった!! ここ2,3年のショーの資料があればいいかな? あ、歴代のグランプリの写真あるわ。
これ、参考になるな。パラパラと見ると、一昨年はじゅんがグランプリで準グランプリがのぶなんだ。
ふーん。去年は女だったのか。
女のグランプリ、和服だ。お、これいいかも。去年、グランプリだったなら便乗するやつら今年もいるかもしれないから、俺目立たないで済むかもしんない。
和服が似合う髪型か。
これ少し考えないと難しいな。カットするにしろ、ヤンキーには頼みたくないし。
あ、ここにだらだらしてる場合じゃなかった。ヤンキーのとこに戻らなきゃ。
「あれ? ヤンキーが居ない」
おーい!! ヤンキー?? どこですかぁ?
「ここにいるわよ!! それに、さっきから普通に私の事ヤンキーって呼んでるわね」
は? あ? これ、ヤンキー? なんだよ、スッピンまともじゃん。
とんでもないブスだったら、どうしようかと思ったけどこれだったら、髪も黒くなったしメイクは薄い方が似合うな。
「なぁ、ヤンキー、あそこにある化粧品は使ってもいいやつ?」
「だから、ヤンキーって……、あたしの名前は淳美って言うんだけど」
「うん。わかった。そんで、あそこの使っていいの? ヤンキー」
「使ってもいい物だけど、あなた人の話、聞いてないわね……」
もう、ヤンキーでいいじゃん。
さっきから返事してくれてるんだから。あ、でも仮にも年上か…。
えーっと、ちょっとヤンキーの顔を触ってみる。
「何触ってるのよ!!」
って怒ってますけど、あなた仮にも美容科ですよね? お肌の質をチェックするの触ってるんだから、気付いて下さい。
えーっと。乾燥肌だと、リキットファンデの方がいいよな。肌の色は普通っと。
「なぁ、ヤンキー先輩は着物の着付け出来る?」
「そ、それくらい出来るわよ!!」
本当に出来るのか……?
「メイク、出来たよ。ヤンキー先輩、鏡見てみ?」
鏡を見て固まってる、ヤンキー先輩。そいや、文句も言わずよく髪黒くさせたよなぁ。
「しょうがないから、言う事聞いてあげるわ。このままじゃ、あたしも卒業試験危ういからね……」
ん? 言う事を聞く? なんだよ。変に素直だな。と、思ってるとクリスタルにファンだったらしい。
今回の美容ショーにクリスタルがゲストで来るの知ってたみたいで同じ事務所なんだから、挨拶位させてくれって。
俺に挨拶させてやるとか出来るのか? 取り敢えず、事が済めばいいから適当に返事しとこ。
「じゃあさ、今回のショーの衣装は着物にしようと思うんだけどなんか着物のあてとかない?」
「うちから、持って来るわ!!」
「はぁ?! 持って来る?」
「うちの家、なんか昔からある呉服屋らしいから」
「じゃあ、俺リクエストするから近い感じの着物を今度ここに集まる時に2~3枚持ってきてよ。着付け本当に出来るんでしょ?」
着付けできるって言うのは満更嘘でもなさそうだから、信じてみよう。
着物さえ、決まれば後は自分でどうすればいいか考えればいいから何回も来なくていいよな。俺のサイズを測って、その日は解散した。
******
「これで、いいかしら?」
おお!! まともなの、持って来てくれてる!! 着物の柄とはよく分かんなかったけど、これはいい。古臭くなくて、新しすぎるわけじゃない感じがいい。
しかもヤンキー先輩がまともにメイクしてるけど、うん、これはこれで良かった。
「やるじゃん!! ヤンキー先輩!!」
ベシべシとヤンキーを叩く。この着物なら髪もなんとかセットしやすいな。
「じゃあ、この肌襦袢とステテコを着たら呼んでちょうだい。左側が上だからね? 右だと死んだ人だから」
ほいほい。おかめ先輩、着れましたよぉ~
「あぁ、やっぱり細いわね。帯が上がって来ちゃうから、補正ベルトしないと」
着物って、なんだ奥が深いな面白い。
でも、こんな感じなら自分でも着付け出来るな。
でも、本番はやってもらわないと髪とかセットしてるから汚したらまずいよなぁ。
本番はこの着物でいいよな?

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。