秘密保護法:運用基準の要旨

2014年12月09日

 特定秘密保護法の運用基準の要旨は次の通り。

<留意事項>

・特定秘密保護法が定める各規定を拡張して解釈してはならない。必要最小限の情報を必要最低限の期間に限って特定秘密として指定する。

・憲法が規定する基本的人権を不当に侵害しない。

・国民の知る権利は、憲法21条が保障する表現の自由や、憲法がよって立つ基盤の民主主義社会の在り方と結び付いたものとして、十分尊重されるべきものである。

<秘密指定の対象(55項目)>

(1)防衛(19項目)

・自衛隊の運用、これに関する見積もり、計画、研究

 (1)自衛隊の訓練、演習

 (2)自衛隊の情報収集・警戒監視活動

 (3)自衛隊法に規定する防衛出動、治安出動、自衛隊施設などの警護出動、その他のわが国の安全を確保するための自衛隊の行動

 (4)自衛隊、米軍の運用またはこれに関する見積もり、計画、研究であって米軍との運用協力に関するもの

 (5)電波情報、画像情報、その他情報収集手段を用いて収集した情報

 (6)外国の政府、国際機関から提供された情報

 (7)(5)または(6)を分析して得られた情報

 (8)(5)から(7)までに掲げる事項に関する情報の収集、分析の対象、計画、方法、情報源、実施状況、能力

 (9)防衛力の整備のために行う国内外の諸情勢に関する見積もり、これに対するわが国の防衛、防衛力の整備に関する方針

 (10)防衛力の整備のために行う防衛力の能力の見積もり、これに基づく研究

 (11)防衛力の整備に関する見積もり、計画、研究であって米国との防衛協力に関するもの

 (12)武力攻撃事態、その他の緊急事態への自衛隊の対処に際して自衛隊の部隊が装備する武器、弾薬、航空機、その他の防衛の用に供する物(船舶を含む)の種類、数量のうち当該部隊が当該事態に対処する能力を推察できるもの

 (13)自衛隊の部隊の間での通信に使用する通信網の構成、通信の方法

 (14)防衛の用に供する暗号で、わが国の政府が用いるために作成された暗号

 (15)自衛隊の潜水艦、航空機、センサー、電子戦機器、誘導武器、情報収集機器、これらの物の研究開発段階のものの仕様、性能、使用方法

 (16)武器、弾薬、航空機、その他の防衛の用に供する物、これらの物の研究開発段階のものの仕様、性能、使用方法のうち外国の政府などから提供されたもの

 (17)自衛隊の潜水艦、航空機、センサー、電子戦機器、誘導武器、情報収集機器、これらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理、試験の方法

 (18)武器、弾薬、航空機、その他の防衛の用に供する物、これらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理、試験の方法のうち外国の政府などから提供されたもの

 (19)防衛の用に供する施設の構造、その他の設計上の情報、施設の能力に関する情報、内部の用途

(2)外交(17項目)

・外国の政府、国際機関との交渉、協力の方針、内容のうち、国民の生命、身体の保護、領域の保全、その他の安全保障に関する重要なもの

 (1)国民の生命、身体の保護

 (2)領域の保全

 (3)海洋、上空などにおける権益の確保

 (4)国際社会の平和と安全の確保(わが国と国民の安全に重大な影響を与えるものに限る)

 (5)外国の政府などとの協力の方針、内容のうち、当該外国の政府などにおいて特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるもの

・安全保障のためにわが国が実施する貨物の輸出、輸入の禁止、その他の措置、その方針

 (6)外国人の本邦への入国の禁止、制限、邦人の外国への渡航の自粛の要請

 (7)貨物の輸出、輸入の禁止、制限

 (8)資産の移転の禁止、制限

 (9)航空機の乗り入れ、船舶の入港の禁止、制限

 (10)(7)の貨物を積載した船舶の検査

 (11)外国の政府などに対してわが国が講ずる外交上の措置(わが国と国民の安全に重大な影響を与えるものに限る)

 (12)領域の保全のためにわが国の政府が講ずる措置、その方針

・安全保障に関し収集した国民の生命、身体の保護、領域の保全、国際社会の平和と安全に関する重要な情報、条約、その他の国際約束に基づき保護することが必要な情報

 (13)電波情報、画像情報、その他情報収集手段を用いて収集した情報

 (14)外国の政府などから提供された情報

 (15)(13)または(14)を分析して得られた情報

 (16)(13)から(15)までに掲げる事項に関する情報の収集、分析の対象、計画、方法、情報源、実施状況、能力

 (17)外務省本省と在外公館との間の通信、その他の外交の用に供する暗号で、わが国の政府が用いるために作成された暗号

(3)特定有害活動の防止(10項目)

・特定有害活動による被害の発生、拡大の防止のための措置、これに関する計画、研究

 (1)特定秘密保護法に規定する核兵器、化学製剤、細菌製剤、その他の物を輸出、輸入するための活動の防止

 (2)緊急事態への対処に係る部隊の戦術

 (3)重要施設、要人などに対する警戒警備

 (4)サイバー攻撃の防止

 (5)特定有害活動の防止のために外国の政府などと協力して実施する措置、これに関する計画、研究のうち、当該外国の政府などにおいて特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるもの

・特定有害活動の防止に関し収集した国民の生命、身体の保護に関する重要な情報、外国の政府、国際機関からの情報

 (6)電波情報、画像情報、その他情報収集手段を用いて収集した情報

 (7)外国の政府などから提供された情報

 (8)(6)または(7)を分析して得られた情報

 (9)(6)から(8)までに掲げる事項に関する情報の収集、分析の対象、計画、方法、情報源、実施状況、能力

 (10)特定有害活動の防止の用に供する暗号で、わが国の政府が用いるために作成された暗号

(4)テロリズムの防止(9項目)

・テロリズムによる被害の発生、拡大の防止のための措置、これに関する計画、研究

 (1)緊急事態への対処に係る部隊の戦術

 (2)重要施設、要人などに対する警戒警備

 (3)サイバー攻撃の防止

 (4)テロリズムの防止のために外国の政府などと協力して実施する措置、これに関する計画、研究のうち、当該外国の政府などにおいて特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるもの

・テロリズムの防止に関し収集した国民の生命、身体の保護に関する重要な情報、外国の政府、国際機関からの情報

 (5)電波情報、画像情報、その他情報収集手段を用いて収集した情報

 (6)外国の政府などから提供された情報

 (7)(5)または(6)を分析して得られた情報

 (8)(5)から(7)までに掲げる事項に関する情報の収集、分析の対象、計画、方法、情報源、実施状況、能力

 (9)テロリズムの防止の用に供する暗号で、わが国の政府が用いるために作成された暗号

<適性評価>

・特定秘密を扱える人物かどうか身辺を調べる適性評価は、調査項目をテロリズムとの関係、犯罪歴や薬物の使用、飲酒の程度などに限定。プライバシー保護に配慮し、目的外利用を禁じる。

<監視機関>

・内閣官房に内閣保全監視委員会を置く。

・内閣府に独立公文書管理監を置く。

・独立公文書管理監は行政機関に特定秘密を含む資料の提出や説明を求め、実地調査をすることができる。

・独立公文書管理監は検証や監察の結果、特定秘密の指定や解除、管理が秘密保護法に沿っていないと判断した場合、その行政機関に是正を求める。

<内部通報制度>

・特定秘密の指定権限を持つ19行政機関に内部通報窓口を設置する。

・特定秘密指定や管理で、秘密保護法を逸脱していると判断した政府職員らは、行政機関の窓口に通報できる。

<運用基準の見直し>

・法施行から5年後に秘密保護法の運用状況について検討を加え、必要があれば見直しを行う。

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