Parallel World~「約束は永遠に」番外編~
with  喜市 

「じゃーん! 凄いでしょ~」

 自らの口で発した効果音と共に、喜市は俺の目の前で一枚の紙切れを広げた。さっき返されたばかりの世界史のテストだ。
 それは点数だけみれば決して「凄い」と呼べるものではない。現に俺はその2倍の点数は採っている。しかし、このテストの名義が喜市である事を考えればそれは物凄い快挙と言えた。

「ほんとだー。喜市が40点台採るなんて初めてじゃない?」

 康友が、微笑みながらパチパチと手を叩く。定期考査で40点を超えるかのボーダーは結構重要だ。なぜなら、我が神崎学園では40点未満は赤点とみなされ再テストを受けるからである。

「へへー、哲也が『40点を超えたら言う事を聞く』って言うから頑張っちゃったよ~」

 へらへらと嬉しそうに笑う喜市。それとは対照的に俺の背中に汗が流れていく。
 くそっ、絶対無理だと思ったのに。
 だって喜市だよ? クラスで唯一夏休み補習対象となった、あの喜市だよ?
 横で秀人が、「馬鹿な奴」って感じで俺の事を見ているのがムカつきます。

「だからね? 哲也、俺のお願い聞いてね~?」

 その後に続けられた喜市の『お願い』に、

「げ”……」

 俺は、思わず顔を顰めたのだった。


※※※


 俺、奥主 哲也と神崎 喜市は付き合っていたりする。
 正直、喜市からのラブラブ攻撃に俺が屈したと言っても過言ではない。

「どうだよ、文句あるか」

 場所は喜市の家。つまり神崎家の別邸。さらに俺がいるのは喜市の部屋だ。俺が住むアパートの部屋がそのまま入りそうなデカイ部屋の真ん中に置かれたキングサイズのベッド。その横にある等身大の鏡で自分の姿を確認した俺は、面倒くさそうに喜市を振り返った。
 今の俺の髪は、金髪だ。しかもスプレーではなく、ちゃんと染めた状態。
 久しぶりに染めたからか、頭皮がヒリヒリする。思わず俺は眉を潜めてしまうのに、喜市は嬉しそうに瞳を輝かせた。

「やっぱり哲也は金髪が似合うよぉ~。最高ー」

 真面目優等生の俺ではなく、覇王の姿に魅かれる喜市の趣味が分からない。俺はため息をついてベッドに腰掛けた。羽布団はやっぱ気持ちがいいな。

「なんか、意外だ」
「え? 何がぁ?」
「本当に金髪にするだけでいいのか?」

 実は、もっとえげつない事をさせられるのかと思っていた。女装で登校とか。それなのに、喜市は金髪にするだけでいいと言う。しかも、学校ではなくて喜市の家で、だ。要は学校の奴等には見られないで済むって訳で。
 正直にその事を伝えれば、喜市は力なく微笑みながら即答した。

「まさかぁ。何で可愛い哲也の姿を秀たん達に見せてあげないといけないのぉ?」

 ストレートなその言葉に、顔が熱くなった。そんな俺を見つめてくすくすと笑い声を漏らしつつ、喜市は立ち上がる。

「お茶でも用意して貰ってくるよぉー。
     

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