運命とはどうしようもない天の意思のことなのだろうか
まあそうだろう、最初に予想くらいしておくべきだった。
そもそもイクスは全裸状態で天空より落ちてきた。
なのに病院に来た時や今助けに来た時などには服を着ていた。
それはつまり、衣食住を提供した誰かがいるはずなのだ。
それに、俺に意識が戻った時、あいつは何と言っていたか・・・
「ツッコんでいられなかったろ?かっこわら」
「お前の差し金なのか?」
そう、貴褌だ。
聞けば、天よりイクスが降ってきて俺に直撃した後、貴褌はまず冷静に救急車を呼び、その間にイクスから多少なり事情説明を受けたらしい。
もちろん最初は眉唾だと思っていた貴褌だが、空から降ってきたことや髪の毛の色などから、少なくともに日常的な人間ではないと判断、信じることにしたのだそうだ。
あとはトゥインクラー━良く分からないが俺のことらしい━の近くにいるために、一番の友人であるという貴褌の家に居候させてもらいたいというイクスたっての願いだったらしい。
まあ金持ちな貴褌の家のことだ。
快く了承して衣食住を提供したであろうことは容易に想像がつく。
「まさか。俺だってもうこの先は知らないよ。いきなりイクスちゃんが『晃樹さんが危ない!』って叫びながら飛び出して行っちゃったんだからさ。」
現在、俺は貴褌の家に来ている。
イクスに連れられて香苗ごとだ。
ちなみにイクスは女性とは思えない強靭な腕力で俺と香苗を抱えながら、この貴褌の家まで屋根を飛び移ってきた。
「まあ頭の中身は年中危ないけどな。かっこわら」
「ほんと、脳味噌じゃなくて蟹味噌でも詰まっているのかしら?ってくらい危ないわよね。」
貴褌も香苗ももっと俺に優しくするべきだ。
「まあ無事だったのですから、良かったです。」
安心しきりといった表情のイクス。
「いや、待てよ?」
「ん?どうしたよ?晃樹。」
凄まじく嫌な予感に身を震わせた俺を見て、貴褌がやや心配げな声を掛けてくる。
「ここに、俺、貴褌、そんでもって香苗がいるってことは・・・」
「ああ、そのことか。心配するな。ちゃんと武宮女史にも声掛けといた。かっこわら」
「お前ぇぇえええ!!!」
梨絵だぞ!
あの梨絵なんだぞ!
今彼女が現れたりしたら・・・
「そんなに俺に感謝し切りか?だよな、嬉しいよな。お前の嫁の一人だもんな。かっこわら」
「いや、あれは、俺のストライクゾーンにもボールゾーンにも属さない超越した存在なんだ。」
「それって死球じゃね?かっこわら」
形容しがたいというかなんというか・・・
言葉じゃ伝わらないこの感情・・・どうしてくれようか・・・
「ちょっと貴褌!晃樹のお嫁さんはわたっ!・・・////」
「どうしちゃったのかな?炎の魔法使いさんは。かっこわら」
「貴褌めぇ~分かってるくせに!!」
「はてさて何のことやら・・・」
ほんと、香苗は炎みたいに顔を真っ赤にして何を言っているのやら・・・
今はそれどころじゃないというのに・・・
「マジかよ・・・あの梨絵が・・・来るのかぁ・・・」
「さっき連絡入れたし、そろそろ来るんじゃないかな?」
-ガチャッ!ドタバタッ!!-
「噂をすればだな。呼び鈴すらも鳴らさないとは。かっこわら。」
ああ、逃げたい。
今すぐダッシュでここから逃げ出したい・・・
「お兄ちゃん!無事だった!?」
現れおったか・・・
「無事だよ・・・梨絵・・・」
「良かった~お兄ちゃんに何かあったら私どうしようかと思ったよ~!」
そんなことをのたまいながら躊躇無く俺に抱きついてくる。
「痛い!痛い!!死ぬって!死ぬ死ぬぅ!!」
「あ、ごめんねお兄ちゃん。」
梨絵はまだ俺の体中のあちこちに骨折があるのを思い出したのか、申し訳なさそうながら残念そうな顔で俺から離れた。
やれやれ・・・ただでさえ力が強いのに・・・
後ろで貴褌がニヤニヤしているのが分かる。
香苗は何やら顔を真っ赤にして意味不明なことを叫んでいるが、こちらは良く分からない。
「大丈夫?お兄ちゃん。」
「大丈夫じゃないです・・・」
彼女の名は武宮梨絵。
香苗と同様俺のクラスメイト。
時場所問わず羞恥心など欠片も見せずに俺に抱きついてくる、俺への好意を全く隠さない女。
そして何故か妹系で俺のことを『お兄ちゃん』と呼ぶ。
それは良いんだ、果てしなく問題無い。
問題はアレだ。
腰近くまで届くロングの黒髪(これも良い。好みだし)にしてやや細めの目付き。
やや薄めの唇にデフォルトの可愛らしい微笑み。
体格は細身(ちなみに細く見えるのは滅茶苦茶引き締まった筋肉)ながら強烈に存在感を巻き散らす豊満なバストとキュッとしまったウエスト。
つまり、美しい系の美人。
それと妹キャラのミスマッチぶり・・・諸兄らは想像できるだろうか?
参考までに再度言っておくと、俺の好みは可愛い系の美人なんだ。
「役者は揃ったな。かっこわら」
「何が言いたいんだよ、貴褌。」
「お前の嫁候補がそろったじゃないか。」
ん?んん!?
「香苗は天然、梨絵は妹系、そしてイクスちゃんは空から落ちてくる系さ。香苗にはツンデレの才能もありそうだし。かっこわら」
「厨二と馬鹿力と電波じゃねぇか!!」
それのどこか嫁なんだか・・・
「だから晃樹に言われたくないって!!大体私はほんとに炎の魔法使いなのに!」
何を思ってそこまで炎の魔法使いと言い張るのだろう・・・
「馬鹿力ってお兄ちゃんひどぉい!私だって、バーベルは140キロより重いのは苦労するのにぃ!」
非力さをアピールするのにバーベルの重さは基準にならねぇよ。
ってか、それ以下は苦労しないんかい・・・
なんという筋肉だ・・・その筋肉でそのプロポーションって・・・もはや奇跡・・・
その筋肉を見られるのが嫌で、上手に二の腕とか太腿とか隠してるくせに・・・
「え・・・と・・・でんぱってなんですか?」
イクスは不思議そうに首を傾げているが、あえて説明はしない方向で。
「ところで、病院からここに来ちまったけど、俺の怪我はどうすんの?」
「あ、それなら心配いりません。私のアビルロウで治します。」
また、固有名詞出たよ・・・
何なの?アビルロウとかトゥインクラーとか・・・
「で、上腕骨がポッキリとイってるはずの俺の右腕にいつの間にか全く痛みが無いんだけど、それが言ってたアビルロウってやつ?」
「はい、後44秒じっとしていていただければ、全身の怪我も完治します。」
良い笑顔だ。
「ちなみに、天空から落ちてきたイクスちゃんが直撃したのに晃樹が死ななかったのもこのイクスちゃんのアビルロウとやらのお陰なんだってさ。」
「その時に完全治癒してくれたらよかったのに・・・」
「いろいろテンパってたからねぇ。救急車呼んじゃったし、死なないようにだけしといて、イクスちゃんにはとりあえず俺の家に来てもらったのさ。」
空から落ちてくる系の電波女・・・でも、マジなことを言っているとするなら電波の部分はカットしてあげないとダメかなぁ・・・
こうして見れば、可愛いんだしなぁ・・・髪は紅いけど。
「む~お兄ちゃん!」
「なんだよ梨絵。」
「私も手、繋ぐ!」
「へ?」
問答無用で梨絵は俺の左手を、その柔らかい両手で包んだ。
そう言えば失念していたが、アビルロウとやらを俺に使うためなのか、イクスはずっと俺の右腕を握っている。
そういうもんなのだろうか?
「うんうん。可愛い可愛い。」
これで容姿的に美しいんじゃなくて可愛かったら、今のところヒロイン率ナンバーワンなのになぁ・・・
「治りましたよ。」
そう言ってイクスは手を離し、にっこりと俺に微笑んだ。
なるほど、確かに全身の骨はしっかりしているし、体内の内臓とかからの痛みも一切消えた。
今すぐ飛び跳ねて運動したりしても大丈夫なレベルだ。
「凄いね、アビルロウって。」
「では晃樹さん。私と共にスカイラインへ来ていただけますか?」
再度イクスは俺に問う。
当然、俺の答えは決まっているさ。
「嫌だけどね。」
「冷たいな。かっこわら」
「・・・・・」
目に見えて落ち込んだ。
ズーンなんていう擬音語が聞こえそうなほどに。
「っていうか晃樹!ほんとに治ったの!?マジっ!?ありえないでしょ!?」
「ほんとだよお兄ちゃん!高度な催眠術による痛み止めとかじゃないの!?」
そういえば、この二人は事情なんて欠片も知らないんだった。
香苗は俺の見舞いに来た時に偶然良く分からん襲撃に出くわしただけだし、梨絵は貴褌からの連絡(たぶん俺が病院を抜け出したとかそんなの)で俺を心配になってここに来ただけだろうし。
まあ、俺もほとんど分かって無いと同義ではあるが。
「では、香苗さんや梨絵さんのためにも最初から説明いたします。」
「待て待て。この二人を巻き込む必要はねぇだろ?聞かなきゃこんな電波なことにも巻き込まれない。だったら、香苗、梨絵、ここは何も聞かずに帰っとけ。」
イクスはそういう配慮が足らないね。
好奇心を満たしてあげるだけが優しさじゃないんだよ。
「どうせもう巻き込まれたし。それにあんなのがまた襲ってくるんなら、晃樹はこの炎の魔法使い様が守ってげなきゃ!」
「お兄ちゃんが病院から抜け出さなきゃいけないくらい危ない目に遭ってるんだよ!私だってお兄ちゃんの助けになれるもん!!」
なんか熱いセリフが返ってきた。
とりあえず俺の優しさだけ返せ、とか誠実者な俺は思ったりはしないわけだが。
「でもなあ・・・」
「シッ!晃樹さん、静かに・・・」
反論しようとした俺の口をイクスが真剣な表情で塞ぎ、他のメンツにも人差し指を立てて静かにするように促す。
「もう、ここが見つかりました。」
「「「「え?」」」」
-ズドォン!-
一同揃って驚いた声を上げると同時、轟音と共に天井が打ち抜かれた。
「俺の家~ってか部屋~ぁぁ・・・」
貴褌は呑気だった。
悲しそうなのに呑気だ。
「やれやれ、ガキ一匹の捕獲にワタクシが出向く羽目になるとは・・・」
やがて埃が収まり、そこから姿を現したのは端麗な容姿をした男性だった。
ちょっとチャラい感じに髪の毛は長くて、しかも金髪だが、口調は実直なサラリーマンとでもいうような感じだ。
インテリで嫌な感じ。
「トゥインクラーの少年とその他大勢の諸君。ワタクシはハイデ・ラ・アイクレと申します。」
慇懃な態度で腰を折り、その男、ハイデは名乗った。
「さて、最低限礼は尽くしました。では、申し訳ありませんが、トゥインクラーの少年をこちらで預からせていただきます。」
「へ?え!?あれ?」
気づいたら、俺はハイデの隣に立っていた。
間違いなくイクスの後ろ、香苗の右、梨絵の左、そして貴褌の斜め前にいたはずの俺が、気づいたらハイデの隣に・・・
「晃樹さんに手を出すなっ!」
その状況で何が起こったのか冷静に判断できていたのはハイデとイクスだけだろう。
イクスは拳を握りこみながら跳びかからん勢いでハイデに向かって走る。
「スカイラインの住民だな?トゥインクラーは君達の希望というのも理解できるが、同様に私たちにとっても重要だ。悪いが、怪我をされても面倒なので、戦うのは勘弁願いたいのだが・・・」
俺の時と同様、気づいたらハイデはイクスの真後ろに立っていた。
そこから諌めるように言葉を放つ。
しかし、それではいそうですかと頷くイクスでもないだろう。
「そんな勝手な言い分は認めません!!」
振り返って拳を放つ。
戦闘派の可愛い子ちゃんも捨てがたいが、やっぱりおしとやかな方が好きかなぁ・・・
なんてちょっと思った。
「勝手なのはどちらかな?ワタクシに言わせてもらえば、天空上で我物顔で正義を振りかざすスカイラインの住民の方がよっぽど勝手だと思いますが、ね!」
「あっがっ!」
ハイデの膝がモロにイクスの脇腹に入った。
うわぁ・・・肋骨粉砕コース・・・
イクスはその場で蹲る。
意識はあるようだがとてもではないが動けないようだ。
「待ちなさい!晃樹は連れて行かせないわ!!」
またしても俺の隣に一瞬で移動してきたハイデが俺の腕を掴んだところで、そこに香苗が立ちはだかった。
梨絵も状況を理解できずに困惑した表情ながらも、このハイデという男が敵であるということは分かるようで、身近な武器になりそうなものを必死に探している。
「君は・・・地上人だな。地上ではアビルハイは使えない。今はただの無能力者でしかない君に何ができるとも思えないが?」
「炎の魔法使い様を嘗めちゃいけないわ!」
そう言いながら香苗は制服のポケットからライターとヘアスプレーを取り出す。
ってちょっと待てよ・・・その組み合わせはまさか・・・
「必殺!『良い子は・・・ってか悪い子だって絶対真似しちゃ駄目な感じのファイヤー』!!」
ヘアスプレーの噴射口をライターの火に合わせ、そしてハイデに向かって躊躇い無く噴射した。
そもそもヘアスプレーの中身は可燃性のガス。
つまり、簡易式火炎放射気の完成というわけで・・・
ヘアスプレーの勢いによって膨大に膨れ上がった炎のうねりが俺とハイデに向かって隙間無く押し寄せてくる。
「なんっ!!クソッ!」
ハイデは俺を諦めた様に躊躇い無く横っ跳びしてその炎を何とか避ける。
つまり、そこには俺だけが残されているわけで、俺も慌ててハイデとは反対側に飛び込む形で避けた。
「技名なげ~」とか「どんな感じだよ!」とかツッコんでる余裕なかった・・・
「俺の家ぇ~!!俺の本~!!」
哀れ貴褌。
その炎は貴褌が一生懸命集めている漫画やらに燃え移り、あっという間に灰に変えた。
―閑話休題
「なるほど言うだけある。アビルロウも使わずにそれだけの炎を創意と工夫だけで作り出すとは・・・なるほど炎の魔法使い、見縊っておりました。」
いや、厨二を認めなくても良いんですけどね・・・
「お兄ちゃんを連れてっちゃ駄目ー!!」
「・・・っ!!これも洒落に・・・」
香苗が隙を作った間に梨絵も武器が決まったらしい。
それは、さきほどまで本だったものが詰まっていた棚・・・つまり本棚。
五段くらいの縦長のやつで、しかもちょっと燃えている。
それを振り被った梨絵は容赦なくハイデに叩きつけようとしていた。
「クッ!」
ハイデはさらに右に飛び込むように緊急回避。
当然、梨絵の振り下ろした本棚は部屋の地面にめり込んだ。
「床ぁ~!!」
無視。
「お兄ちゃんを連れてっちゃ駄目ぇ~!!!」
そこから本棚を薙ぎ払い。
ハイデは慌てたように飛び上がってそれを回避。
「パソコンがぁ~!!」
無視。
「もう一発!『良い子は・・・ってか悪い子だって絶対真似しちゃ駄目な感じのファイヤー』!!」
「うっ!ぐっ!!」
そこにできた隙に今度は香苗が再び簡易式火炎放射気を噴射。
炎が届くより早く地面に着地で来たハイデは伏せることで何とか炎を回避。
ちょっと金髪が焦げてる。
「せっかく集めたアイドルポスターがぁ~!!」
無視。
「ハァ・・・ハァ・・・やってくれる・・・」
肩で息をしながら、それでもハイデは余裕綽々と言った表情を作りながら本棚を構えている梨絵とヘアスプレーを構えている香苗を交互に見据える。
それは強がりといった風体ではなく、本当に余裕、切り札を持っていると言わんばかりだった。
「ここで全員殺しても良いが、流石に面倒だ。ここは引くとしましょう。覚えておくと良い、トゥインクラーの少年。君は本来どちらの陣営に就くべきか・・・」
それだけ言葉を残すとハイデはアッサリとそこから姿を消してしまった。
先程俺の隣に移動したときのように、気づいたらそこにはいなかった。
「晃樹!」
「お兄ちゃん、大丈夫!?」
二人が駆け寄ってくる。
「俺自身は・・・まあ大丈夫だ。怪我は無い。でも、イクスが・・・」
そうイクス。
先程、モロに脇腹に強烈な蹴りをもらっていた。
見た感じ、良くても肋骨の一、二本は折れるレベルの蹴りだったし、大丈夫なのだろうか?
そう思ってイクスの方を見ると、どうやら無事な様子で上体を起こしていた。
「お役に立てず申し訳ありません。お二方に助けていただく形になってしまって・・・」
イクスは悔しそうな、申し訳なさそうな顔をする。
不甲斐なさで自分を戒めているような表情だ。
「晃樹が無事だったんだからそれでオッケーよん。」
「そうだよ!お兄ちゃんを守りたいから私もここにいるんだもん!」
お~頼もしい。
これで、女性に守られる情けない俺の図が無ければ言う事無しなんだが。
「これって保険下りるのかな・・・慰謝料とかどこに請求すればいいんだろ・・・」
貴褌は割と本気で泣きが入っていた。
自業自得だ。
俺への嫌がらせのためだけに梨絵なんぞ呼びおって。
まあ、梨絵がいたおかげもあってあのハイデという男を撃退することもできたわけだし、その一点でいえば貴褌の先見の明に感謝しても良いような気になるが、敢えて感謝しない。
「イクスちゃん・・・これってアビルロウとかで治せない?」
「物理的な修復は私の得意とするところではないので、申し訳ないですが・・・」
人の怪我は治せるけど物の破損とかは治せないってところかな?
「よし分かった!こうなったらあのハイデとかいう男をシめ上げて全額負担させてやる!イクスちゃん!俺も協力するぜ!!主にハイデとかいう男をボコす目的で!」
「た、頼もしいです。」
あまりにもの貴褌の剣幕にタジタジしながらもイクスは有難そうにニッコリと微笑んだ。
「私もよ!晃樹が危ない目に遭うって言うなら!私だって力になるわ!!この炎の魔法使い、春日ちゃんがね!!」
「お兄ちゃんのためだって言うなら私も!あんな男の人にお兄ちゃんは渡さないんだから!!」
なんでここの女性陣はこんなにも頼もしいのだろう?
「晃樹さん・・・お願いです!スカイラインへ私と共に来てください。」
イクスが俺に向き直り、再度俺の意思を問いながら頭を下げてくる。
「そう言われてもな・・・俺は少年漫画の主人公なんかじゃないし、引いては主人公補正なんか俺にはかかってないし、下手したらアッサリ死んじまうぜ?」
「心配すんなって晃樹。お前は主人公だよ。ギャルゲーのな。かっこわら」
いや、親指立てながら言われても・・・
「その通りだ。」
「あ、認めるんだ。」
「無論だ!」
そんなとき、ふいにある物が俺の目に止まった。
「そう言わずに晃樹さん!」
イクスは俺が未だに渋っていると見てか再度頭を下げる。
もう土下座せんばかりの勢いだが、俺の視界の中には今イクスは入っていなかった。
「ところでさ、梨絵の頭の上にあるアレって火災報知機だよな?」
「そうだね。」
「ところでさ、梨絵って何持ってる?」
「え~と・・・松明?」
「・・・」
「正確には、『中の本及び先端部分に香苗が噴射した炎が燃え移っている本棚』かな?・・・かっこわら」
「えないけどね!?」
瞬間、人の危機感に働きかけるような凄まじい音が響き渡ったのだった。
個人的に炎の魔法使いは大好きです。
良いキャラだと思います^^
感想を頂ければ嬉しいですが、「このキャラ好きです」みたいな一言でも僕は喜びますので、できるなら一言だけでも残して行っていただけないでしょうか?
お願いします。
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