困った時の黒ギャルメイク
へくしょーい!
目覚める、風呂、首が痛い
寒い、今何時?、二日酔い無し
全ての状況を一瞬でまとめる
そして焦る
美容院の予約時間は11時だからだ
軽く流して風呂を出ると
10時だった
…全然寝れてねえ、でも良かった
携帯にはミクからの着信が一件、掛け直す
「もしもーし?電車?聞くだけ聞いて
ロッテリアまで来て着いたら電話ください」
小さくハイと聞こえたので伝わったようだ
電話を切ると通知音
…おっと新しいカード買わなきゃな
プリペイド式の携帯は残額が少なくなると教えてくれる
毎回5000円のを買った
普通の携帯にすれば良いのだが契約がめんどかった
スーツで家を出る
途中のコンビニでカードを補充
ロッテリアの前の約束だが早く着いたし中に
シェーク的なものを飲みながら窓際でミクを待つ
ほんのちょっとで姿が見えた
しかも目の前に立ったのが都合良い
ユウは驚かそうとガラスをドンとどついた
ミクはビクッと振り返って中に入る
「すいませーん、遅刻しちゃいました」
「全然だよ!
てゆーか俺がちょっと早かっただけ」
それでもミクは申し訳なさそうにしてる
「髪型さ、なんかしたいのある?」
「いえ、特には…」
「じゃあちょっと派手めにしよっか」
「ええ!?」
「ギャルでいこう!ギャルで!」
ミクは困惑した表情だったがOKした
ロッテリアを出ると美容院まではすぐだ
ひとつ路地を折れるだけ
ユウは足早に道を歩く
出来るスロッターは大体早歩き、なんでだろ?
美容院に着くと担当になるだろう知り合いと話す
コテコテのギャルにしてくれ
また?みたいな顔をしたがすぐに把握してくれた
結構かかるそうなのでそのうちにCD屋などに行くことに
一通り新譜を聴き漁る
そしてJazzやfunkなどのコーナーへ
探してるCDが無かった
コアなアーティストになるとなかなか見つからない
意外と見当たらないあの名盤とか…
今さら聞き直したい名盤とか…
ユウはネットなら見つかるかなー?
とか考えて契約しようか考えた
フラフラしつつも若い女をみれば声をかけた
ナンパじゃない
1人でナンパするような酔狂な男では無い
スカウトである
見た感じ18〜25あたりなら全部声かけた
あきらかに制服でも声かけた
ファミマやセブンイレブンの制服にもだ
職場の同僚にも引かれる積極性
その分お金貰ってるので間違いじゃない
でも間違いなのだ
その人は制服で戻る場所を知られている
後で話のネタにされたりしたそうだ
声かけられてたね(笑)みたいな感じか
それはめんどくさい、いつしか辞めた
人に迷惑かけてまでユウは金に執着は無かった
なんだかんだ時間になったから美容院へ
ミクは綺麗な金髪
「おお!似合ってるよ!」
「ホントですかぁ?えへへ」
そのままユウが会計して美容師に頭を下げる
持ちつ持たれつだから割引が効く
客を連れて行くことは喜ばれていた
「似合ってるけど肌が白すぎかな?
少し焼いたら良い感じになりそう」
「えー!でも急には焼けなくないですか?」
ユウは日サロに連れて行った
だんだんミクの意思はユウの意思
少し強引だがユウは女の子の変身願望を上手く突いた
キツめのタンニングマシンにミクをブチ込み
ユウは再び周りの探索へ
短時間で調子が良い時もあったりして
ちょっとした時間に動くのも大事
なにより暇が嫌いだった
そして
こんがり焼けたミクが登場
「うん!ムラもなく良い感じ」
そう言ってTシャツをめくって腹を見たり
もしくは背中を見たり自然にセクハラ
下心も悪気も無い
ただ黒ギャルと化したミク
どこにでもいそうな姿形になった
ランクの低い女子はギャルメイク
これはユウが先輩に学んだ鉄則
激しいギャルメイクってのは便利なもんで
全部同じレベルに見えるんだ
それでいて需要がある
企画モノAVではギャル人気高いのだ
ミクの変身は成功だった
褒めちぎるとミクもまんざらでもない様子で笑った
…少しは自信になればイイけどな
そのままピンサロに連れていく
研修というプレイは無かった
契約書をサラサラと書いて仕事は終わり
ミクの出勤は翌日からとなって帰ることに
「お腹が空きました」
「そういえばなんも食ってねえなあ」
すっかり夜になっていた
ユウは近場のパスタ屋にミクを連れて行く
女の子はパスタみたいな風潮がある
間違ってない、無難だ
店内にはメシ時で多くの客がいた
そのせいで長居するには落ち着かない
食べ終わるとそそくさと出ざるえない
そのまま駅へ
「今日はありがとうございました!」
「ん。明日から頑張ってね!
なんかあったら電話すればいい」
「ありがとうございます!」
お礼言いすぎだ
あの子が耐えれるかどうかはわからない
でも意外と風俗って派手なのがいない
無理してんのかな?って人はいる
ミクみたいな自信のない子が多いのだろう
実はユウの姉も風俗出身だ
東京に来た直後にヘルスで働いたらしい
そんなこともありユウは風俗嬢に偏見が無い
風俗嬢もフリーターも同じ社会人
こうやって見れてる人実はかなり少ない
汚いとかなんとか
その考え方のほうが100倍汚い
そんなこと考えつつミクを見送ると
いつものスロ屋に向かって歩き出した
……
いつものざわついた風景
イベント翌日ってこともあり出玉はイマイチ
コウタの姿は無かった
…すでに全額負けたか、来てないか
来てないってのは考えにくい
コウタはしっかりした後輩だったが
いわゆる破滅型ギャンブラー
楽しみのために我慢が効かない
ブレーキの効きが悪い車みたいに坂を転げる
事故るまで止まれないタイプなのだ
自分の範疇でやれてるうちは趣味
越えて自制出来なくなれば病気だ
翌日の狙いなどを定め早めに家路に着いた
帰ると一件のメール
ミク
本文
今日は楽しかったです!ありがとうございました
あまり良い予感のしないメール
とりあえず
またね的なメールを返して洗濯や家事をした
早い返信があったが返さず家事
しばらくぶりに音楽を聴きながら
Beastie boysのアルバムHello nasty
聴きすぎても未だに聴く
…次の土曜はクラブでも行くかな
そんなことを考えながらその日は寝た
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。