【ニューヨーク=山下晃】ニューヨーク市場で原油安が加速し、株式への売りも優勢になってきた。12日には原油先物が1バレル57ドル台に下落し、約5年7カ月ぶりの安値を付けた。原油安がエネルギー株の重荷となり、ダウ工業株30種平均は315ドル安。国際エネルギー機関(IEA)が2015年の需要予測を引き下げたことで、原油市場の需給の緩みが改めて意識された。ダウ平均の週間の下げ幅は677ドル(3.8%)で、約3年ぶりの下落率となった。
12日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近物が3日続落し、前日比2.14ドル安い57.81ドルで終えた。一時は57.34ドルまで下げる場面もあった。
今週はIEAに加え石油輸出国機構(OPEC)も需要見通しを引き下げている。需給懸念が一段と強まり、原油先物への売りが活発化。WTIの期近物は1週間で約12%値下がりした。米商品先物取引委員会(CFTC)が12日発表した投機筋(非商業部門、9日時点)の原油先物の買い越し幅は、前週比3220枚(1枚は千バレル)少ない26万1776枚だった。2週ぶりの縮小だった。
原油安でエクソンモービルやシェブロンといった石油関連株が大きく下げ、12日のダウ平均を押し下げた。終値は315ドル51セント(1.8%)安の1万7280ドル83セントで、約1カ月半ぶりの安値。欧州の株式相場も軟調で、ドイツなど主要な株価指数は2%を上回る下落率となった。
株安を受けて投資家が運用リスクを回避する姿勢を強め、相対的に安全な資産とされる米国債の相場が上昇。米長期金利の指標となる10年物国債利回りは0.08%低い2.08%となり、約2カ月ぶりの低水準となった。
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