1話 美幼女はリエル!
自分で言うのもなんだが俺こと木見悠治はそこらへんによくいる普通の人だ。演劇でいうと村人Bか木役か通行人Aみたいな。
普通に、エロくて馬鹿でちょっと鈍い普通の健全な男子高校生だと自慢できるくらいに。
そんな俺のある日の朝、目が覚めると窓枠に美幼女が平然と座っていた。
そいつは俺の顔をじっくり、銅像のように動かずに真顔で見つめている。
俺は夢かと思い二度寝のためにふとんの中に潜り込む。べ、別に知らない美幼女に見つめられてて恥ずかしいわけじゃないんだからね!
俺が二度寝準備に入ると、幼女はヒョイという交換音がつきそうな動作で窓枠から降り、ぺたぺたと歩いて俺の寝台の近くに来ると俺がぬくぬくしてたふとんを引き抜いた。
え。ちょロリさん。あなた誰?お母さんが子供のふとんを取る感じでなんで俺のふとんをとっているんだ。
それに俺には妹いないよ弟は一人いるけど。姉貴もいないよ?
「なぜ何回も寝ているのだカミは?」
その幼女は独り言のようなことを呟き、俺の顔をまじまじと見ていた。まるでクリスマスプレゼントの中身に期待している子供のような顔だ。
「あなたは誰だ?どうして俺の部屋にいるんだ」
俺は目を細くしてロリを睨みつけた。このロリの髪色・・・・・・金髪ってことは染めたのか。
ロリはよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの表情をし、まな板の胸を張った。
「ふふん…私は神の使いだ!!お前が新しいカミだから力が使いこなせるまで私が助けることになった!
ちなみに私はコードネームレイ!人間としているときはエリル・シュドラだ!よくリエルと呼ばれている」
「なるほど元気な迷子の厨二幼女リエルちゃんねちょっとうるさすぎるけど。キラキラネームでいじめられてそういう設定に逃げちゃったんだね」
「違う!カミは馬鹿か?!私は神の使いであって迷子ではないッ厨二とかいうものでもないッ
キラキラネームなどいうものじゃないッ第一私は人間ではない!はははははっ驚いたよね?」
さっきからオーバーリアクションのリエルちゃん。リアクション芸人の出○さんといい勝負だよ。いや○川さんよりちょっと上かな?リエルちゃんには可愛さがあるもんな。
じゃあ起こしにいきなさいと母さんにでも言われた親戚の子かな?こうでもしないと起きないと俺は家族に思われているのか・・・
リエルってちょっと痛い子だけど、見た目可愛いい。さて、下に降りないとリエルちゃんまで怒られるだろうし早く行くか。
ドアノブに手をかけ、回そうとする。
「わわわ、ちょ。ちょっと待ってえ!カミ冷たい!さっきからなにも信じてくれてないよね?!」
「いや信じているよ?設定否定されると悲しいし」
「絶対に信じてないよーカミは~」
笑ったり泣いたり大変なやつだなリエル。本当にさっきからうるさいが、そういえば母さんがうるさいーとか怒鳴り込んで来ないな。なぜなんだ。
扉からリエルに視線を向けると、リエルは言い忘れてたとでも言いたそうな顔をしていた。
「カミのマザーならさっき寝てる時に出かけてたよ」
「そうなのか?なんで知ってるんだ」
「隣に引っ越して来たから。カミは知らないと思うけど、カミの家族と私仲結構良いし。それにカミの学校に入学して同じクラスの隣の席私だよ」
しれっとした顔でどこからか出したボッキーを食べているリエル。クラスで俺の隣の席って誰だったか・・・覚えてないな。いつの間に俺の家族と仲良くなってたんだ。
気になることが幾つかあるがまあいいか。
朝食を食べにリビングに向かおうとしたその瞬間
リエルが座っていて全開になっていた窓から、強風が部屋の中に入ってきた。
すぐに俺は慌てて窓を閉めたため、被害は風は机の上の本が何冊が捲れただけで収まった。
窓を閉めて気づいたが、昨日は空き地だった隣の土地に2階建ての家が建っていた。昨日の今日で家がだ。
もしかしてと思い後ろに振り返り、リエルに聞いてみる
「ああその家は私の家だ。とはいえカミの護衛もしなければならないし、大体私の家にはいないが!」
欠伸を噛み潰しながら目をこすりながら答えたリエル。
・・・聞こうと思ったらリエルが聞く前に言ってくれたが、もしかしてテレパシーが使えるのか?
それかただの感か?
「感じゃないよ。正真正銘のお前の言うテレパシーなるものだ。まあ私はカンヨミと言っているが」
真顔でまた、まな板みたいな胸を張った。
かんよみ・・・感読みか?
つかお前人外なんだよな。さっき人間じゃないって言ってたし。
それって人外でのテレパシーの呼び方なのか?
「んー人外だけど違うよ私がカンヨミって呼んでるだけ。それに人外って言ってもいろいろあるからよくわからないし、それにカミも一応人外だよ?」
随分と投げやりだな
俺もそうだと厨二ロリリエルが言ってるが嘘だろう。それとカミってあだ名やめてくれないか?
「あだ名じゃないし敬称みたいなものだし嫌だよ」
・・・・・・敬称か。格好良いな
さっきから何回も連続して大欠伸しているが大丈夫か?いきなり倒れたら困るからな。と思っていたら、なぜかラジオ体操を始めた。
なぜだ・・・・・・なぜなんだリエル!今は春だし10時だしなにかおかしくはないか!
「眠いから!」
キリリと目が覚めたような目つきで決まったーとか名言いったみたいに喜んでいるところ悪いが、言ってること凄い普通だからな。
おいこら、しょんぼりって交換音がつきそうなくらい肩を落として落ち込むなよ。
決まったのにーせっかく決まったのにーって心の声が顔に書かれてるぞリエル君。
「別にいいじゃないですかー」
むむむ・・・部屋の隅に行き“の”の字を書き始めるほどのダメージだったか。
いじいじいじいじしくしくしくしくと呟き、周りにどんよりオーラが立ち始めてるし。
リエルがいじいじとしくしくの精神攻撃を出した!これは心優しい少年には辛い!辛いぞーー!
そして酷い!酷すぎるぞ悠治ッ!!お前の涙は何色だッ幼女の健気さを踏みにじる野郎かー!
「なに一人で実況してるのカミは・・・ちなみに今日平日よ」
呆れて鼻をすすりながら、カレンダーを指さそうとしたが見つからず、デジタル時計の日にちを指さした。
裕二は時計を見ると瞬間顔が青ざめた。今日は平日の月曜日で今の時間が10:26だからだ。
「完全に遅刻ね。どうするの?」
ふふんと余裕そうに腕を組むリエル。・・・お前も遅刻なのがわかってないのか?
「早く行かないと大変よー?行きましょうよ早く」
体をくねくねと揺らしながら急かす。もしや表情はニヤついているリエルは実は内心冷や汗かきまくりだったりするのか?
「リエルは早くしなくていいのか?」
「私は神の使いよ?なんで急がなければならないの?」
「そういえばそんな設定だったな」
だから設定じゃないって!と言っているリエルはほっといて早く制服着ていくか。
着慣れた青いブレザーの制服を素早く着る。俺が焦って制服を着ている時、リエルは何をしているのか気にならなかったが、いたずらっ子のような年相応の笑みで微笑んでいたような気がした。
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