16.髪の色
「ハルカちゃんはこっちに来ても髪の色は変わらないね。」
え?髪は…うん。いつもの色だ。
日本人らしい黒。日に透かすとちょっと茶色っぽいんだよね。
「僕たちがこっちに来て魔力が上がってたとこまでは言ったでしょう?
次の日にはね、髪の色が変わってたんだ。」
髪の色が?
確か、髪の色って魔素を表すんじゃ…。
「魔力っていうか持ってる魔素が大きくなって、その影響が外見にまでおよんだんだ。
僕の髪もね。銀みたいな白っぽい色だったのが、今みたいな濃い金色に変わったんだよ。ほら、僕の魔素って「金」だから。」
昨日聞きました。メルバさんは金なんですよね?
だから、ルシン君と相性が良くなくて私とクルビスさんでお手伝いしたんです。
綺麗な金髪だなって思ってたけど、こっちに来てからだったんだ。
エルフだから金髪碧眼なんだろうな~って思ってた。
「髪の色以外は変化しなかったんだけどね、驚いたよ。まあ、おかげでそれぞれの特異不得意もわかるようになったし、研究は進んだけどね。
でも、ハルカちゃんも寿命に影響するくらい魔素が大きくなってるのに色が変わってない…たぶん、ハルカちゃん本来の資質が「黒」なんだと思う。それも、混じりけのない「黒」。」
日本人だからじゃなくて、私の個性ってことですか?
よかった。原色とかじゃなくて。昨日見たおじさんとかすごい色合いだったもんなぁ。
ホッとしてると、メルバさんがこちらに身を乗り出してくる。
…な、何でしょう?
「あのね。こっちでは色が同じだと子供が出来やすいんだ。
今はそれほど言わないけどね。昔子供が生まれなくて困った時期があって、同じ色を持ったもの同士で番…えっと、夫婦になってたんだよ。」
声を潜めてメルバさんが話す。
え…。『つがい』って、あの鳥のカップルとかに使う番?
同じ色を持ってたら、夫婦になったってこと?
でも、どうしてそれを私に…。
「つまり、習慣的にね。色が同じだと夫婦、もしくは恋人とみなされやすいだよね。」
色でそこまで言われるんですか?なんだか大変だなあ。
でも、子供が出来るか出来ないかって、パートナーと一緒にいるには重大なことだよね。
恋人くらいならともかく、夫婦ってなるとねぇ。
私だったら子供は欲しいなぁ。
そういう意味では、わかる分選びやすくていいのかな?
子供産むために結婚決める場合もあるもんなぁ。
そりゃ、他もいろいろ見てるだろうけど、会社の先輩で「子供が欲しい」って言って婚活頑張って結婚した人がいたんだよね。
子供の出来る出来ないがパートナーを選ぶ基準になる場合もあると思う。
「だからね。この先、クルビス君とウワサになるかもしれないけど、気にしなくていいから。」
クルビスさんとウワサ?何で?
…あ、そっか。
わかったとたんに顔が熱くなるのがわかる。
クルビスさんも私も「黒」だ。それも一色。
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