8 トラブル発生
私は今、感動している。
何故なら悩みが一つ解決したのだ!
しかも解決したのは、あのギルドマスターだ。今日、出発の前にギルドマスターが魔道具をくれた。それを見たときは何か分からなかった。ギルドマスターから受け取ったのはどう見てもリボンにしか見えない物だった。
「ここには居たのか?探したぞ」
「あれ?どうしてギルドマスターがこちらに?」
「ロイズの奴から聞いていないか?『髪の色を変えるか誤認させる物があればエルに譲って欲しい』と言われていてな、この魔道具を使えば髪の色を自由に変えられる」
「お前の髪の毛は、染めても色が変わらんのだろう?これをやるから好きに使え」
ロイズの方に目線を向けると、まるでドッキリ大成功と言うように笑っていた。
「ありがとうございます、大切に使います」
「良かったね、エル」
「使えるか確認してみろ」
その魔道具で髪を纏めて変えたい色をイメージすると髪の色が変わるらしい。
(とりあえず瞳と同じに)
色をイメージして魔道具を起動した瞬間、髪の色が変わった。
「………あっ………変わった」
「本当に変わった!」
「使えるみたいだな、良かった」
髪の色を自由に変えられると言うことで、出発までロイズと色を変えて遊んでいた。因みにこの魔道具は私とロイズでそれぞれ一個もらった。
私達は、ギルドマスターに別れを告げて最初の目的地『ウィンバレット』に向かうために街を出ていった。
▼ ▼ ▼
街を出て一週間がたった。
予定では宿に泊まって寝ている。それはあくまでも予定である。何故なら今起きているからだ。
何故起きているのか?
ーー眠れる状況では無いから
何故そのような状況になったのか?
ーートラブルに巻き飲まれたから
今の状況を打破出来ないのか?
ーー出入口には見張りが居る、魔道具で魔力が封じられ武器は没収された
敵は何なのか?
ーー分からない、恐らく盗賊か何かだろう
数は?強さは?
ーー分からない、誰かが助けてくれる
根拠は?
ーーロイズが捕まっていないから
(まだ大丈夫、我慢できる)
こんなことになったのは2日前、歩くのが疲れて乗り合いの馬車に乗せてもらっていた。馬を休ませる為なのか脇道に入っていき見晴らしが悪い場所に停まった。そこで馬車に乗っていた人に少し到着が遅れると言い、軽食が振る舞われた。だか、食べ物や飲み物には毒が入っており食べた人は皆その場で意識を失った。
ロイズはその時、散歩に行っていて現場に居らず軽食も食べていない。
その後、私が目を覚ました時は武器は没収され、魔法は封じられていた。私の他に既に起きている人がいたので、その時の状況をお互いに確認して他に人達が起きるのを待った。
「男はこっちだ!」
全員が起きると声がかかり牢屋のなかに居る4人の男たちが連れて行かれた。1人が抵抗していたが難なく無力化されてしまった。
4人の男たちは、老人が1人で後は若い人だった、老人と抵抗した人の2人が牢屋から見える位置で見せつけるように殺された。
「馬鹿な真似はするなよ」
そう言って2人を殺した人達は居なくなった。
牢屋には私を含めて3人だ、気の強そうな女性と10才くらいの少女がいた。気の強そうな女性は脱走しようとして見張りに捕まり、殺された。
残った少女と牢屋で助けを待っていると。10~15人くらいの男たちが入ってきた。5~6人くらいなら魔族としてのの身体能力で何とかなりそうだがこの人数では無理だ。彼等は私達の両手を縛って目隠しを着けた。
目隠しで何されるか分からない、何時殺されるか分からない。
(少女の気配が無い)
何処かに連れて行かれたみたいだ、独りだ………
このシチュエーションは前世の死に方と似てなくもない。トラウマだから思い出したくない。
……………ヤバい。
もう、耐えられそうにない……………………
「……助けて…」
私は、意識を手放した。
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