11話
俺は学校から家へと柚の事を考えながら帰宅中だ
これからどうすればいいのか、俺はどうしたいのか
考えがまとまらないままフラフラ歩いていた
「あら? 勇ちゃんじゃない」
家が近づいたところで、後ろから女性に声をかけられた
俺が誰かと思って振り向くと、よく知っている人の姿が目に映った
「最近あんまり会わなかったわよね。なんかずいぶん久しぶりな気がするわね」
俺の彼女である柚の母親、 桜さんだった
「さ、桜さん! そうですね、不思議とあまり遭遇しなかったですね」
桜さんは会社で働いていて、今まで1人で柚を育ててきた
旦那さんとは昔に離婚したらしい
桜さんの年齢は恐らく40前後だと思うが 、なにも知らない人が見たら二十代後半から三十代位だと思うのではないか、という程若く綺麗な人だ
性格はかなり厳格であり、柚と一緒に怒られたこともある
「まぁ、私は最近帰りが遅かったからしょうがないかしらね。
そういえば最近柚とはうまくやってるかしら?」
「えっ、あぁっと、 はい。仲良くやってますよ」
桜さんの何気ない質問に俺はうまく答えることが出来なかった
「そう、 なら良かったわ。ここでこれ以上話すのもあれだし、一緒に帰りましょうか」
俺の反応を怪しむこともなく桜さんはにっこりと微笑んだ
追求されずにほっとした俺は桜さんと一緒に歩き始めた
「最近帰りが遅いって言ってましたけど、仕事大変なんですか?」
「 別にそれほど忙しいわけじゃないのよ 」
桜さんは責任感が強いので無理をしているのかと思い、不安になった
「そんなに不安そうな顔をしなくても大丈夫よ、無理はしてないからね」
「ならいいんですけど... 」
桜さんの顔を見ると、嘘を言っているようでもなかったのでひと安心した
しばらくすると、自分達の家の前に着いた
「それじゃあね、勇ちゃん。今度ご飯でも食べに来てちょうだいね」
「はい、是非お願いします」
桜さんが家に入るのを見届け、俺も家の中へと入った
さっきまでは柚の事で悩んでいたけど、桜さんと話したらかなり気持ちが楽になった気がする
しかし、俺はさっきからいくつか気になることがあった
桜さんは柚に対して色々厳しかったはずなのに、柚の髪の色や服装の事は気にならなかったのか
さっきの話のなかでは、柚の見た目に対して何かしら聞かれると思ったのに、なにも言われなかった
既に二人の間で解決してるのかもしれないが、桜さんが柚をあのままにしておくとは考えづらかった
柚が桜さんを説得したのだろうか?
まだ話し合いの途中なのか?
実際どうなのかは分からないが、柚がギャルのようになってしまったのは俺の責任でもあるので申しわけなく思ってしまう
そして、さっき一緒に歩いていたときに思ったことだ
桜さんは昔から綺麗で、俺の初恋の人でもある
今でも変わらず綺麗だったが
それ以上に女性として魅力が増しているように感じた
顔にはしわが一切なく、胸は垂れる事もなく綺麗な形を保ち スカートから伸びる足はしなやかで美しかった
桜さんから感じるほのかに香水が混ざった匂いは、とてもいい匂いでどんな男も興奮させるフェロモンみたいだった
何故桜さんが急に魅力的になったのか、
俺が気づかなかっただけなのかな
と色々考えたが、今はそれよりも優先すべき事がある
なので、柚との事をどうするかを考えながら 早めに就寝した
その夜隣の家から母娘がどこかに出掛けたことに俺は気づかなかった
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