高浜原発3・4号機:安全審査年内「合格」来春以降再稼働
毎日新聞 2014年12月12日 20時46分(最終更新 12月12日 21時42分)
新規制基準に基づく審査が進む関西電力高浜原発3、4号機(福井県)について、原子力規制庁の米谷仁総務課長は12日の定例記者会見で、事実上の合格証となる審査書案を年内に原子力規制委員会に示す方針を明らかにした。東京電力福島第1原発事故を受けて安全対策が強化された新基準をクリアするのは、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)に次いで2例目となる。【斎藤有香】
審査書案は17日か24日の規制委定例会に示される見通し。これを規制委が了承すれば、審査書案は1カ月間、国民からの意見公募に付された後、正式に決定される。工事認可など二つの認可取得や地元同意手続きが残っているため、実際に再稼働するのは来年春以降になるとみられる。
政府は川内原発の前例にならい、福井県と立地する同県高浜町の同意があれば再稼働できるとの考えだ。しかし、住民の避難計画などが必要な30キロ圏が鹿児島県内に収まる川内原発と異なって、高浜原発では福井、京都、滋賀の3府県にまたがり、地元同意手続きで異論が出る可能性もある。
関電は、想定する地震の最大の揺れ「基準地震動」を従来の550ガル(ガルは加速度の単位)から700ガルに、最大の津波の高さ「基準津波」を当初の5.7メートルから6.2メートルに、それぞれ引き上げた。防潮堤を2メートルかさ上げして8メートルにするなどの対策費は1030億円に膨らんだ。
関電は、こうした対策をまとめた原子炉設置変更許可申請の補正書を10月末に提出。規制委が内容を確認して審査書案作成を進めていた。