-極右勢力はあなたを売国奴と批判している。
「私は心から日本を愛している。日本が近隣諸国から尊敬される国になるには、侵略戦争の過程で発生した人権問題を直視すべきだと思う」
-今後の計画は?
「私と朝日新聞に対する攻撃が激しくなる一方、最近は日本のメディアから慰安婦関連記事がほとんど消えている。元慰安婦の最初の証言を報道した記者として、慰安婦関連問題をまた取材したいと思う。宿命だという気もする。元慰安婦たちが亡くなる前に、この問題が解決されるよう一助となりたい」
-あなたに対する攻撃は激しくなっているが、支持する人も多い。
「非常勤講師をしている北星学園大学にも解雇を要求する脅迫が続くと、弁護士・学者・ジャーナリストら約1200人が参加する『負けるな北星!の会』が活動を開始した。大学の学生・職員・教授はもちろん、一般市民も大勢支援してくれている。今回の事件を民主主義の危機だと感じている人がそれだけ多いという意味だろう」
10月1日に「脅迫に屈しない」と宣言した北星学園大学だが、脅迫電話が相次ぎ、学生募集に支障が出たり、テロに備え警備員を増やしたりすることで財政負担が増えるという理由から、来年は講師契約を更新しないことにしたと報じられた。ところが、学内外から「脅迫に屈したら、学問や信念の自由は終焉(しゅうえん)となる」と批判の声が上がり、大学当局は最終決定を先送りしている。
インタビューに同席したある支援者は「植村氏の契約更新問題は大学と個人の問題ではなく、日本の民主主義の分かれ道となるかもしれない。警察は脅迫を事実上、放置している気もする」と語った。
■植村隆氏
朝日新聞ソウル特派員・北京特派員などを務め、今年3月に退職した。「在日韓国人の人権問題」を担当した1991年、元慰安婦として初めて公の場で証言した金学順さんの記事を韓国メディアに先立ち報道した。金学順さんの証言をきっかけに、韓国で約200人が被害例を証言、慰安婦問題は国際的な人権問題としてクローズアップされた。世界中から批判が相次ぐと、日本政府は93年に慰安婦の強制連行を認め、謝罪する「河野談話」を発表した。極右勢力は植村氏のことを「慰安婦問題を捏造し、日本の名誉を失墜させた記者だ」と攻撃している。