イスラム国:斬首した米記者遺体 100万ドルで売却図る
毎日新聞 2014年12月13日 10時59分(最終更新 12月13日 12時57分)
【ワシントン和田浩明】米オンラインニュース「バズフィード」は10日、イラクとシリアの広範囲を支配下に置いている過激派組織「イスラム国」が、今年8月に斬首して殺害した米国人記者の遺体を100万ドル(約1億1900万円)で売却しようとしていると報じた。3人の仲介者からの情報という。米国務省当局者は11日の声明で「情報収集中」として確認は避けたが「事実ならイスラム国の堕落ぶりを示す恐るべき事例。米国民に危害を加えた者は全力で追及する」と述べた。
報道によると、遺体はジェームズ・フォーリー氏(40)のもの。8月下旬に同氏殺害の動画がインターネットで公開された。米国によるイスラム国拠点空爆に対する報復としての犯行とされる。
仲介者のうち1人は元シリア反体制派。イスラム国側から、米国政府か遺族に接触し遺体の「代金」として100万ドルを求めるよう要請された。遺体が本人のものである「証拠」としてDNA標本も提供すると聞いたという。別の仲介者はイスラム国とつながりがある実業家で、同趣旨の説明をした。
この2人によると、遺体売却を図る動きには、米国が支援する穏健派反体制派「自由シリア軍」の幹部も関与。シリアに近いトルコ南部アンタキヤでの対面取材に「米政府が止めようとするかもしれない」と報道しないよう求めたという。
米当局などによると外国人人質の身代金はイスラム国の主要収入源の一つ。財務省の10月のデータでは2014年だけで約2000万ドルを得たとされる。欧州諸国の一部が身代金を支払ったとの報道がある。
米国や英国は自国民を人質に取られても身代金の支払いは「テロ組織に運営資金を与えることになる」と応じない方針を維持している。フォーリー氏の場合も、米当局は家族に「身代金を支払えば訴追される」と伝えたとされる。