【ニューヨーク=稲井創一】米国のシェールオイル開発に減速感が出てきた。今月12日時点でのリグと呼ばれる石油掘削設備の稼働数が1546基と前週に比べ29基減少し、今年最大の減少幅となった。原油先物の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)期近物が1バレル60ドルを割り込み、米シェール企業は新規の投資に慎重になっている。米原油増産ペースも鈍化する可能性が出てきた。
原油開発に必要なリグの数は原油生産の先行き動向を示す指標として知られ、米大手資源サービス会社ベーカー・ヒューズが毎週発表している。12日の調査によると、米石油のリグ数は3週ぶりに減少し、WTIが今年の高値をつけた6月20日以来の水準に低下した。ピークの10月10日時点の1609基に比べると4%減で、ここにきて減少幅が拡大する兆候が出始めている。
今月5日までの1週間の米国での原油の日量生産は911.8万バレルと、6月20日までの週と比べ約7%増えている。1つの井戸あたりの生産性は向上しているものの、シェールの井戸は1~2年でピークを迎えるため、新規のリグ数が増えなければいずれは生産量の減少が避けられなくなる。
原油安に歯止めがかからない中、リグの減少はシェール業者が新規投資に慎重になっていることを示唆している。さらに稼働リグの減少が進めばシェールオイルの増産ペースにブレーキがかかりそうだ。
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