フモフモ編集長の潜入取材!単なるサッカー忘年会だと思ったら久保竜彦の“ドラゴンナイト”だった件
いやー……。いやー……。単刀直入に一言でまとめると「ヒドイ」集まりでした。決してけなそうということではなく、むしろ褒めてる感じでとらえてほしいのですが、「スゴイ」とか「カッコイイ」とか「素敵」とかではなく、「ヒドイ」が一番しっくりくる。それぐらい恐ろしい世界に巻き込まれてきました。
12月11日の夜、ヤバイやつしか歩いていないことで知られる新宿の魔窟・歌舞伎町に僕はいました。関東以外の方は馴染みがないと思いますが、歌舞伎町がどういう街かと言うと、コンビニ・コンビニ・風俗店・ドンキ・カラオケ・風俗店というリズム感でエッチなお店が立ち並ぶアンダーグラウンドな街です。道を歩けば「DVD、DVD」と呼びかけるアヤしい外国人に何度も声を掛けられ、頭上のスピーカーから「我々は新宿警察署だ!」から始まる客引き撲滅のメッセージが流れつづける。マッドマックスの世界観です。
そんなところまで何をしに行ったかというと、サッカーキングさんで企画された「サッカークラスタ忘年会2014」なるイベントにお呼ばれしたのです。「タダで入れてあげるから、あとでレポートしてよ」という誘いの言葉。「内田」という偽名での予約完了のお知らせ。僕もついうっかり「タダなら……」と応じてしまったのです。まさか、ああいう感じだとは思わずに……。
イベント自体は、少なくとも告知の段階では、いたって普通のものでした。むしろ若干の真面目さも含んでいたかもしれません。出演者には元川悦子さんなど著名なスポーツライター氏が並び、日本代表戦の中継で話題となった全力さんなど有名なサポーターの名前も挙げられています。そこにサッカーキングの統括編集長・岩本氏、そして元日本代表選手が参加するというのです。
「サッカーの未来を考える!」とか言い出してもオカシクない顔ぶれ。何だかちょっとしたセミナーでもできそうじゃないですか。実際に、予定されたイベントを見ていくと「徹底討論!日本の育成これでいいのか? 育成マニフェストはこれだ!」とか「Jリーグサポーター論」などという、カンファレンスみたいな内容が並んでいるのです。
僕も「レポート」という意味を、ナタリーのライブレポートみたいな意味でとらえていたものです。こんな素晴らしい発言があった、とか。驚くべき事実が明かされた、とか。最後は明るいサッカーの未来を願って一同が握手をかわした、とか。そういう話を紹介すればいいものだとばかり。だから、記録用のレコーダーとかも持っていったのです。
しかし、僕の考えはごもっともですが、サッカーキングの考えは違った。
そこにあったのは「ノー提言、ノー名言」の心意気。イベントの前説で連呼される「ヤバめの話はSNSに上げないでください!」という真剣なお願い。そして進行をつとめる岩本氏から何度も飛び出す「今、真面目な話するの?」というリアルなクエスチョンマーク。録音してもあまり意味がないというか、録音しちゃアカン話ばかりを、サッカーキングさんはやる気だったのです。ボイスレコーダーとかいらん感じのgdgdをやろうとしていたのです。
それを単刀直入に示すのが「■出演者 元日本代表」のあとにつづく4文字でした。そこに書かれていたヤバイ4文字、それは「久保竜彦」。サンフレッチェ広島などで活躍した偉大なストライカーであり、プロの酒飲みでもある久保“ドランクドラゴン”竜彦さんこそが、このイベントのメインゲストだったのです。
歌舞伎町×久保竜彦。さながら“竜が如く”と言った感じ。イヤな予感しかしないコラボレーション。そして、その予感はイベント開始5分で的中します。このイベントはサッカーの未来につながるものとかではなく、ドラゴンナイトだったのです。SEKAI NO OWARIっぽいタイトルになってしまいましたが、むしろ「世界の終わり」のほうに近い。歌舞伎町の路上にアレだけいるヤバめの連中よりもヤバいヤツは会場内にいた。めっちゃデカイ。めっちゃ目つきが鋭い。めっちゃ酒強い。しかも、あだ名がドラゴン。香港マフィアも真っ青の危険人物です!
【いよいよ本日開催!忘年会!】本日12/11(木)に新宿ロフトプラスワンでサッカーキング忘年会を開催!久保竜彦さんと2014年を振り返えろう!会場にて当日券(2,000円)を販売致します→http://t.co/CroVikTBdR pic.twitter.com/9hYmo0tqFX
— サッカーキング ハーフ・タイム (@soccerkingHT) 2014, 12月 11ドラゴンの「メリークリスマス」の発声で始まったイベント。確かに「演者も飲みます酔います」とは書いてありましたが、「言うても」という一定のラインはあるものです。しかし、ドラゴンはそのラインを軽々と越えていく飛龍でした。ドラゴンのペースは驚くほど速く、コッチがひとくち飲んでいる間にジョッキをひとつ飲み干していきます。
一応、補足しますと、この場面はイベント式次で言うところの『第2部 超俺のニュース・オブ・ザ・イヤー』の一場面。乾杯⇒着席⇒トークスタートという段階のものです。右端のミニスカサンタこと長谷川ゆうさん(戦術女子として知られる本気のフットサル美女)が今年の個人的なニュースを発表し、ひとつ飛ばして、左端の中田久美さん似の女性こと元川悦子さん(有名スポーツライター)が個人的ニュースを発表しているくだりです。この間、ドラゴンは中央でひたすら酒を飲みつづけています。これが本日のドラゴン基本形です。
ワントークテーマ30分くらいでしょうか。演者を次々に入れ替えながら、トークはつづきます。第3部は『徹底討論!日本の育成これでいいのか? 育成マニフェストはこれだ!』というテーマで、育成年代についてのトークがつづきましたが、ソデに降りたドラゴンは話題のサポーター・全力さん(過呼吸JAPANの人)に絡み酒を始めます。ステージ上の話が「長谷部か!」という感じのマジメなものだったこともあり、僕はトークそっちのけでドラゴンを見つづけることに。
ステージ上では「日本にはストライカーは生まれない!」なんて厳しい言葉が飛び交い、育成について激論を交わしていますが、その前にドラゴンがどうやって育ったのかソッチを聞きたい。日本のどこに、こんな自由な男を育む風土があったのでしょうか。これが生まれる風土からなら、奇跡の点取り屋くらい生まれてもおかしくはない。ストライカーよりドラゴンのほうが、珍しい存在ですからね。
この革命戦士みたいな方は、下部リーグを中心にサポーター活動をつづけるロック総統なる有名サポーター氏であるとのこと。頭には「鍵革派」の文字を記したヘルメット。拡声器と謎の棒を持ち歩き、ステージ上でアジテーションを展開します。普段は『機動戦士ガンダム』に登場するシャア・アズナブルのコスプレでスタンドにいるとかで、これはもう一刻も早く新宿警察に来てほしい感じになってきました。(※なお、総統氏は胃を傷めているそうで、この日はコーヒー牛乳での参戦です/見かけよりだいぶ繊細)
しかし、ヤバイ感じは高まるものの、第4部はトークも盛り上がり場の空気もグッと熱気を帯びてきます。JFLに残る牧歌的な空気の中、ときに相手ゴール裏に乗り込んでみたり(※綿密な電話打ち合わせの上で)、ときにサポーターの少なさを補うために自分たちのゴール裏を開放して他サポを巻き込んでみたり(※天皇杯のマリノス戦でマリノスサポに太鼓を叩いてもらったこともあるらしい)、ロック総統発の「現場」ならではの面白いエピソードが多数紹介されました。J1リーグでなくても、下部リーグでも、サッカー楽しむことはできる。そのことを改めて感じさせてくれる、いい演目だったように思います。
さて、何となくイベントっぽかったのはここまで。ここからはドラゴンがステージに帰還し、本格的にドラゴンナイトが始まります。『教えてドラゴン!』と題した第5部では、ドラゴンに質問をぶつけ、回答をもらうという、一見すると単純な企画です。しかし、そうは問屋が卸さない。ドラゴンは微妙に日本語が通じません。質問すれば回答が出るなどと思ったら大間違い。ドラゴンは答えに詰まり、別の話を始め、また酒を飲みます。ラチがあかない。