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 厚生労働省は12日、家族らから生体腎移植を受けた患者5人が、両足がしびれ、歩行や排尿が困難になる難病「HTLV―1関連脊髄(せきずい)症」を発症していたと発表した。移植を通じて原因ウイルスに感染した。通常より高い発症率で重症化も早いことから、厚労省は研究班を立ち上げ調べる。

 聖マリアンナ医大の山野嘉久准教授が、2000~13年に生体腎移植で原因ウイルスのHTLV―1に感染し、脊髄症を発症した5人を確認した。発症率は5%以上で通常の20倍以上と推定。いずれも移植から5年以内に発症し、その後数年で歩けなくなるなど重症化も早かった。

 HTLV―1は白血病ウイルスの一種で、母乳などで感染する。日本人は男性で0・66%、女性で1%程度が感染、感染者の約0・25%が脊髄症を発症するとされる。提供者が感染していても、重い腎臓病患者への生体腎移植は学会指針では禁じられていない。

 厚労省は12日、腎移植を受ける患者と提供者に感染検査をするほか、移植手術を受ける際には重症例について説明して同意を得ることを医療機関に求めた。