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2014年12月10日

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燃料電池車(FCV)はガラパゴス?

数々の問題点があるにも拘わらず、日本政府は燃料電池車(FCV)を次世代自動車の本命と位置づけているらしい。しかし技術的にどうみても他の方式に比較して優位性があるとは思えないのだが?

燃料電池車(FCV)の売りは水素を燃料とし、水以外には何も排出しないという環境への優しさだというが、水素ほど扱いにくい燃料は無いのだ。

トヨタのFCVを例にとってみればタンクの容量は60リットルのタンクを2個積む。ガソリンタンクからくらべれば2倍程度大きい。これで走行距離650kmを稼ぐ。その圧力は70気圧。水素ガスは金属を脆化する作用があるため金属のボンベは使えない。そのため炭素繊維等を使った特殊なボンベが必要になる。
70気圧の可燃性のガスを扱うのがどんだけ危険かわかるだろう。間違って噴出させれば大変危険である。

水素ガスステーションもこれまた大変である。水素ガスというのは分子が小さい。どんなに密閉したとしても、分子の隙間から逃げ出してしまう。よく遊園地で買ったヘリウム風船が翌日になったらヘリウムが抜けてしまって浮かばなくなったのを見かけるだろう。それは分子の小さなヘリウムが風船の壁をすり抜けて逃げてしまった結果である。ヘリウムよりも分子の小さい水素でも同じ事が起こる。水素がどんどんめ減りするため常に補給する必要の迫られる。
屋外では直に上空に飛んでいってしまうので危険は少ないが、屋内では危険である。漏れた水素が室内の上のほうに徐々にたまる。原発事故で起きた水素爆発もこの類である。

水素ガスの輸送も大変である。気体のままでの輸送は特殊な高圧ガスタンクが必要となり、従来のタンクローリーは使えない。加えて容積もガソリンより大きくなるので効率が悪い。圧縮して液化するのが最も効率が良いが、水素の沸点は零下230度。圧縮して液状を保つには膨大なエネルギーがいる。

さらに生産も問題である。工業的に水素ガスを得るには炭化水素(石油等)から生成する。その時にはエネルギーを消費するし、CO2も出す。FCVは水しか出さないというが、水素ガスを生成する段階で大量のCO2を排出する。実質的には石油を燃やすのとなんら変わりはないのだ。

日本政府が最近提唱している原子炉、高温ガス炉を使えば、その高温を利用して水から水素を安価に電気分解できるという話はある。しかし高温ガス炉自体、まだ実験段階の原子炉である。それが実用化されるまでには何年かかるかわからないし、実現するかもわからない。
かりに実現したとしても、前に述べたように水素は保管、輸送に多大なコストがかかる。

燃料電池車にはもう一つ大きな欠点がある。それは燃料電池に高価なプラチナを必要とする。いままで人間が掘り出したプラチナの総量は約4,000トン、体積にして約200m3しかない。そんな貴重な金属を大量生産する自動車に使えるとはとても思えない。

現在のFCVの値段はトヨタで700万円、政府の補助金が入るので500万円で買えるそうだが、普通の人間が買う値段ではない。日本のガラパゴス製品がまた一つ増えた?
将来は値段が下がるそうだが、多分その前に電気自動車がもっと安い値段で出てくるはずである。いま30分ほどかかる充電時間ももっと、短くなる。現在300K程度の航続距離ももっと長くなる。アルミ空気電池が実用化すれば充電すらいらなくなる。

リニアにかまけて高速鉄道に後塵を拝した日本。電気自動車でも後塵を拝するのが目に見えるようだ。







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