対象ハードウェア:Androidスマートフォン/タブレット、iPhone/iPad/iPod touch
スマートフォンやタブレット(端末)を機種交換するとき、よく課題となるのが、従来の端末から新しい端末へアプリやデータを移行する方法だ。
それは2段階認証に用いる認証アプリ「Google認証システム(Google Authenticator)」も例外ではない。もし移行に失敗すると、Google認証システムに登録してあるサービスにはログインできなくなる恐れがある。
そこで本稿では、Google認証システムを利用していた端末を手放す際、新たな端末に移行する手順と注意点を説明する。詳しくは後で説明するが、一般的なアプリと同じ方法が通用せず、簡単には移行できない点は留意していただきたい。
Google認証システムアプリを別のスマートフォン/タブレット(端末)に移行するには、新しい端末の方でGoogle認証システムを対象サービス/アカウントに登録し直す(再登録する)必要がある。複数のサービス/アカウントを登録している場合は、一つずつ登録し直す手間がかかる。Google認証システムの場合、残念ながら簡単に移行する方法はない。
以下では、注意点を交えつつ順を追って説明する。
Google認証システムを移行する際には、新たな端末にGoogle認証システムをインストールして、全てのサービス/アカウントの再登録が完了するまで、従来の端末を手元で使えるように確保しておくのが理想的だ。なぜなら、いつもで必ずどちらかの端末で2段階認証のコードを生成できるし、新旧端末を付き合わせてサービス/アカウントの登録漏れがないか確認しやすいからだ。
それでも、移行前に従来の端末を手放すことは可能だ。新たな端末でサービス/アカウントを再登録する際、従来の端末のGoogle認証システムは必要ないからだ。ただしその場合は、次の点を守る必要がある。
特に1.を守らないと、第2段階の認証ができなくなってログイン不能になる可能性がある。
Googleアカウントの場合、Google認証システムのような認証アプリの他にも、SMSや電話(音声)、電子メールによるコードの通知、あるいはバックアップコードの入力といった手段が用意されている。これらを事前に準備しておくことをお勧めする。
そうしておくと、第2段階の認証が求められた時に[コードに問題がある場合]というリンクをクリックすれば、利用可能な他の認証手段が選択できる。
ここで「対象サービスにログインしたままのPCを残しておけば、2段階認証は求められないのでは?」と思うかもしれない。だが、この後の作業で必要なアカウント設定の際、不意に第2段階の認証が求められることもあるため、この方法は確実ではない。
もし、どうしても第2段階の認証手段を別途用意できない場合は、面倒だが、いったん2段階認証を無効化せざるを得ないだろう。
ここからGoogle認証システムを実際に移行するための手順を説明する。
まずは、新たなスマートフォン/タブレットの方にGoogle認証システムアプリをインストールする。Androidスマートフォン/タブレットの場合は、次のGoogle Playのページからインストールできる。
iPhone/iPad/iPod touchの場合は、次のiTunes App Storeのページからインストールできる。
新たにインストールしたGoogle認証システムに対して、従来のGoogle認証システムに登録してあるサービス/アカウントを登録していく。以下ではGoogleアカウントを例に挙げて説明する。
まずWebブラウザーで以下のWebページを開き、移行対象のアカウントでグーグルにログインする。
ここからの設定はPC(Windows/Mac OS X/Linuxなど)の方が簡単だ(スマートフォン/タブレットでも設定は可能だが、文字が小さくて操作しにくい)。また新たにGoogle認証システムをインストールした端末では設定しない方がよい。登録時に必要なQRコードが、その端末自身に表示されるので容易に撮影できないからだ。
次に、「ログイン」枠にある[2段階認証プロセス]をクリックして2段階認証の設定ページを開く。そこで[確認コード]タブにある[別の携帯端末に移動]というリンクをクリックし、新しいGoogle認証システムでQRコードを撮影するかシークレットキーを入力して、登録を完了させる。
ここで新しいスマートフォン/タブレットに移って、Google認証システムを起動する。
この後の手順はGoogle認証システムの新規登録時と変わらないので、次のTIPSを参照していただきたい。
登録作業が完了したら、新しいGoogle認証システムを使ってログインできるか確かめてみよう。それにはWebブラウザーのプライベートモード(Internet ExplorerならInPrivateブラウズ、ChromeやFirefoxならプライベートウィンドウ)で新たなウィンドウを開いてから、対象のサービス/アカウントでのログインを試すとよい。必ず第2段階の認証が求められるので、新しいGoogle認証システムが表示するコードを入力してログインできることを確認する。
他のサービス/アカウントについても同様に、新しい方に再登録していく。全部登録できたら、移行作業は完了だ。Google以外の代表的なサービスでの再登録手順は、以下を参考にしていただきたい。
■Dropboxの場合の再登録手順
まずWebブラウザーで「設定」ページを開き、対象アカウントでログインする。次に[セキュリティ]タブを選び、「2段階認証」枠の[認証アプリ]の右脇にある[編集]リンクをクリックする。ウィザードが起動したらパスワード認証を経て、[モバイル アプリを使用]を選ぶ。
その後は、画面に表示されたQRコードをGoogle認証システムで撮影し、生成されたコードを登録して完了だ。手順の詳細は次のTIPSが参考になる。
■Microsoftアカウントの場合の再登録手順
まずWebブラウザーで「アカウントの保護」ページを開き、対象アカウントでサインインする。次に「認証アプリ」枠の[セットアップ]リンクをクリックする。「認証アプリの設定」では次のように選択する:
その後は、画面に表示されたQRコードをGoogle認証システムで撮影し、生成されたコードを登録して完了だ。
■Facebookの場合の再登録手順
まずWebブラウザーで「セキュリティ設定」ページを開き、対象アカウントでログインする。次に「コードジェネレータ」の右端にある[編集]リンクをクリックし、「セキュリティコードを入手するその他の方法を」の右脇にある[設定]リンクをクリックする。
その後は、画面に表示されたQRコードをGoogle認証システムで撮影し、生成されたコードを登録して完了だ。
■Evernoteの場合の再登録手順
まずWebブラウザーで「セキュリティ概要」ページを開き、対象アカウントでサインインする。次に「2段階認証が有効です」枠にある[設定を管理]ボタンをクリックする。
ここでいったん「テキストメッセージ」ボタンをクリックして[確認して保存]ボタンをクリックした後に、[Google認証システム]ボタンをクリックする。「Google認証システムを入手する」ダイアログが表示されたら、端末の種類に合わせて[iOSで続行]か[Androidで続行]のどちらかを選ぶ。
その後は、画面に表示されたQRコードをGoogle認証システムで撮影し、生成されたコードを登録して完了だ。
全てのサービス/アカウントを新しいGoogle認証システムに移行したら、従来の端末のGoogle認証システムは削除しよう。
新しいGoogle認証システムにサービス/アカウントの登録が完了した瞬間、従来のGoogle認証システムに表示されるコードは自動的に利用できなくなる。第2段階の認証の際、従来の方に表示されたコードを入力しても、必ず認証には失敗する。
とはいえ、Google認証システムにはサービス名とアカウント名という漏えいしたくない情報も記録されているので、やはり削除すべきだ。端末を手放す場合は、端末ごと初期化して工場出荷時の状態に戻せばよいだろう。
Androidスマートフォン/タブレットでもiPhone/iPad/iPod touchでも、新しい端末に移行する際に、従来の端末のバックアップを復元(リストア)することで、アプリのデータや設定を引き継ぐことが可能だ。
だがGoogle認証システムの場合、バックアップから復元しても、登録しておいたはずのサービス/アカウントが消えてしまう。つまりバックアップからの復元では移行できない。そのため、移行するには前述のように登録し直しの作業が必要となる。
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