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 原子力規制委員会の田中俊一委員長が12日、東京電力福島第一原発を視察し、廃炉に向けた作業の進み具合などを確認した。今後の課題として増え続ける汚染水の対策をあげ、「水を捨てていかないとならない。(汚染水増加が)どこかで打ち止めになるようなことを住民の理解を得ながらやるしかない」と述べた。

 田中委員長の福島第一原発視察は昨年4月以来で、就任後2回目。高濃度汚染水の抜き取り作業が難航してきた2号機建屋海側の坑道(トレンチ)や、汚染水タンク周辺の水漏れ防止堰(せき)の状況などを確認した。

 田中委員長は視察後、4号機の使用済み燃料の取り出しが終わったことや、2号機坑道の作業が工法の変更により「めどがついた」ことを評価。一方で、「タンクの多さには圧倒されている」と語り、汚染水が敷地内にたまり続けていることが、廃炉に向けリスクを下げる妨げになっているとの認識を示した。

 田中委員長はこれまで、基準値以下になった汚染水は海に放出することが廃炉作業を進めるために必要だとの見解を示してきた。「怒りもあるだろうが、福島県民の皆さんに納得してもらえるようなことをしなければ」として、規制委としても海水の放射性物質調査などを通じた情報提供を引き続き進める考えを示した。(熊井洋美)