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京都市の朝鮮学校に対し、差別的言動を繰り返した「在日特権を許さない市民…
京都市の朝鮮学校に対し、差別的言動を繰り返した「在日特権を許さない市民の会」(在特会)によるヘイトスピーチ(憎悪表現)について、「人種差別」と断じた大阪高裁の判決が最高裁で確定した。在特会側には、計1200万円を超す高額賠償金を支払う義務が生じる。
最高裁は、「表現の自由の範囲内」とする在特会側の主張を退け、「主眼は在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴えることにあった」と認定した高裁判断を支持した。「排外主義は認めない」という世界共通の価値観を、日本の司法も共有する姿勢の表れとみるべきだ。
在特会は朝鮮学校の周辺で拡声機や街宣車を使い、「朝鮮半島へ帰れ」などと聞くにたえない言葉を投げつけた。子どもたちの恐怖や精神的な被害は極めて大きく、もはや暴力とさえいえるレベルだった。
今回の裁判では、在特会による朝鮮学校へのヘイトスピーチという特定の行為について賠償責任を認定し、日本も加盟する人種差別撤廃条約に照らして賠償額を引き上げた。一方で、ヘイトスピーチ一般について判断が示されたわけではない。
それでも、人種差別を伴う罵声に高額の賠償を命じられるという司法判断が定着した意義は大きい。
一方的な攻撃にさらされても声を上げられなかった被害者にとっては心強いだろう。これを機に、ヘイトスピーチを繰り返している団体は、人権侵害を伴うような街宣行為をきっぱりとやめるべきだ。
日本にはヘイトスピーチを直接取り締まる法律はない。ドイツやフランスには、ヘイトスピーチや差別を先導する発言そのものを規制する法律がある。日本でも議員立法をめざす動きも出ている。
差別を許さない社会をめざすのは当然だが、表現の自由との兼ね合いもある。どこで線引きをするのかなど、詰めるべき点も少なくないだろう。
気がかりなのは「ヘイトスピーチを許さない」という社会的な合意が十分できているとは言い難いことだ。
市民グループの調査では、ヘイトスピーチを伴うデモや街宣は、昨年1年間で360件以上あった。しかも地方に拡散しているという。ネット上では、外国人に対する憎悪の言葉が飛び交っている。
ヘイトスピーチがなくならないのは、この国の社会に存在する隠れた差別感情の表出だと言えないだろうか。問われているのは私たち自身でもある。
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