企業の採用「増やす」14% 売手市場加速12月11日 18時04分
再来年の春に卒業する今の大学3年生の採用見通しについて、全国の4600社余りのうち、採用を増やすことにしている企業は14%に上り、減らすとする企業の2.6倍に上ったことが人材サービス会社の調査で分かりました。
売手市場と言われている就職戦線で、人材確保の競争がさらに激しくなる見通しです。
調査は人材サービス会社大手のリクルートワークス研究所が、ことし10月から先月にかけて従業員5人以上の企業6800社余りを対象に行い、4618社から回答を得ました。
再来年の春に卒業する今の大学3年生の採用見通しについて、前の年より「増やす」と答えた企業は去年の同じ調査と比べて0.7ポイント増えて14%でした。
一方、「減らす」とする企業は、去年より0.2ポイント少ない5.3%で、採用を増やす企業が減らす企業の2.6倍に上りました。また、「変わらない」とする企業は46.8%でした。
中でも、従業員1000人以上の大企業では、採用を増やす割合が17.6%と高くなっていて、売り手市場と言われている就職戦線で、人材確保の競争がさらに激しくなる見通しです。
業種別では、飲食サービス業が25%と増やすと答えた割合が最も高く、次いで、小売業が20.8%、建設業が19.4%などとなっていて、人手不足が深刻だと言われる業種で高くなっています。調査を行った戸田淳仁研究員は、「企業の採用意欲は高く、採用数が増える可能性が高い。一方で、採用スケジュールが大きく変わるので、企業によっては採用の環境が厳しくなる可能性がある。また、学生はどういった企業に就職したいかをよく考えて活動することがより重要になってくる」と話しています。
採用スケジュールは大幅に遅く
企業の新卒者の採用スケジュールは、いまの大学3年生が就職活動をする今回から大きく変わります。
去年までは12月1日だった企業の就職説明会の解禁日は翌年の3月1日に3か月遅くなります。
就職試験や面接なども4月1日からだったのが8月1日からと、4か月遅く始まることになりました。これは大学生が学業に専念できる期間を長くするべきだという大学側の意見や政府の方針を受け経団連が決めました。
これまで経団連に加盟する大手企業だけでなく、中小企業も足並みをそろえる傾向にありましたが、今回は、人材確保への危機感から解禁を待たずに、採用を行う企業が増えるという見方も出ています。