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 10日のニューヨーク商業取引所で、国際的な原油価格の指標となる「米国産WTI原油」の先物価格が、前日比2・88ドル安い1バレル=60・94ドルと、約5年5カ月ぶりの安値をつけた。最近の価格急落で国内では、ガソリンや灯油が安くなった。円安などによる物価高で苦しい家計に、恩恵が広がりつつある。

 「149円」

 11日夕、東京都板橋区のガソリンスタンドでは、久しぶりに1リットル140円台のレギュラーガソリン価格表示が点滅した。帰宅途中に給油に立ち寄った同区の会社員、島田一男さん(56)は「スーパーに行くと商品が上がっている。ガソリンだけでも安くなってもらわないと」と喜ぶ。

 日本エネルギー経済研究所によると、ガソリンは21週連続で値下がり中だ。今週(8日時点)のレギュラー1リットルあたりの全国平均価格は155・3円で、1年5カ月ぶりの安値。灯油も1リットル100・0円で、16週連続の値下がりが続く。

 背景には、米国のシェールオイルの生産拡大などによる原油安がある。中東などの産油国でつくる石油輸出国機構(OPEC)が11月に減産見送りを決めてから、一段と拍車がかかった。石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之・上席エコノミストは「ガソリンや石油製品などは、今後も値下がりが予想される。ただ、円安が進めば恩恵も薄れる」と話す。