発信箱:信頼される国民は?=小倉孝保(欧州総局)
毎日新聞 2014年12月10日 00時43分(最終更新 12月10日 00時44分)
日本人は世界で最も信頼されている国民である。各国の世論調査団体が加盟するギャラップ・インターナショナル(本部・スイス)が先日、発表した結果である。
調査は世界47カ国の計4万2720人を対象に8月、電話や対面方式で実施された。「最も信頼する国民は?」の問いに、日本と答えたのが16.5%でトップ。米国(15.2%)、ドイツ(13.3%)、カナダ(8.3%)が続いた。
日本人の信頼度は東南アジアや中東地域で総じて高く、例えば、「日本人を最も信頼する」と答えたのは、タイ(33%)、インドネシア(26.5%)、サウジアラビア(26.3%)、イラン(26.1%)、トルコ(22.5%)など。一方、近隣の中国(3.3%)と韓国(2.6%)では予想通り、日本の信頼度は低かった。
同じような調査は1977年から毎年、実施しているが、信頼度について聞くのは初めて。英国で調査を担当した世論調査機関のジョニー・ヒールド所長(44)は、「日本人の信頼度が高いのは予想通り。勤勉で堅実。国際紛争に関与してこなかったことも信頼につながった」と分析した。
中韓からの信頼が低いのはやや気になるが、近隣諸国はどこも似たり寄ったりのようだ。フランス人を信頼する英国人は0.7%、イタリア人を信頼するドイツ人は0.9%、米国人を信頼するカナダ人は0.8%なのだから。
集団的自衛権の憲法解釈変更など日本政府は、従来の安全保障政策を大転換させている。ただ、先の大戦後、国民がこつこつと積み上げてきた信頼は確実に、世界の人々の心に届いていることを忘れるべきでないと思う。