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【映画オタク記者のここが気になる】
文革中国が輸入した「高倉健映画」 「文太」が蹴った『新幹線大爆破』、健さんは乗った…健さん・文太さん秘話
時速80キロまで減速すると爆発する特殊な爆弾を新幹線に仕掛け、身代金を要求する町工場のしがない社長・沖田が、高倉さんの役。東京-博多間をノンストップで疾走する超特急と並行して、犯人と警察、国鉄との虚々実々の駆け引きがサスペンスたっぷりに描かれる。佐藤監督によると、沖田の役は当初、菅原さんが演じるはずだった。
「東映側は文太さんでいくつもりだった。でもシナリオを読んだ文太さんは『この映画の主役は新幹線で、演技者は付け足しだ』と断ってきた。どうしようかと悩んでいるときに、プロデューサーが健さんにホン(脚本)を読んでもらったら『非常に面白い。出たい』と言ってくれた。願ったりかなったりでした。それまで健さんが演じていた役とはだいぶ違うが、本人も現代劇を本格的にやりたかったのでしょう」。「キネマ旬報」1975年7月上旬夏の特別号には制作スタッフらの座談会が載っていて、高倉さんは「タワーリング・インフェルノ」を引き合いに出して「こっちの脚本の方がはるかに面白い」などと発言している。