太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

オタサーの姫をちやほやし続けたい童貞騎士としては姫に魔女化してもらっては困るのである

オタサーの姫をちやほやするのが好きだった

言うならば、オタサーの姫は『アイドル』である。アイドルを応援するものたちは、みな同じ立ち位置からサイリウムを振り、アイドルは舞台上から全員に向かって手を振って、笑顔を向ける。逆に、サークラは『キャバクラ嬢』である。彼女を指名する客は複数人いたとしても、彼らは彼女に対して1対1で席に付き、嬢は彼らに対して個人的に連絡先の交換をし、デートと言う名の同伴や、絵文字の舞い散る営業メールを欠かさない。

 読みました〜。ほんとそれ! 例示の服装は逆の場合も多い気がするけど、もやもやしていた事を言語化してくれた感じ。微妙に勘違いされがちなのだけど、僕の属性は『堂本兄弟』の女性ゲストちやほや会みたいにオタサーの姫をちやほやするところにあるので、「サークルクラッシュ」については敏感に察知して身を引く事が多い。

オタサーの姫がサークルクラッシャーに変化する瞬間

 それは決して「姫は恋愛禁止」という意味ではなくて、「サークルクラっしゃられ」になりつつある男からの「ライバルキャラ扱いされる視線」がトリガーとなる。そうなるとギスギスしてコミュニティの居心地が悪くなるし、僕の中の「負けず嫌い」に間違って火が付いてしまう事もある。妄想含みもあるのかもしれないれけど、その空間に居合わせれば分かる空気感というものがある。

ホモソーシャル的空間で牽制し合ってるなかで、誰かが抜け駆けると模倣欲望による競争が生まれて「絶対に負けられない戦いがここにある」になっちゃうだけという場合がある。その時に「姫」は完全に代替可能であり、むしろホモソーシャルチキンレースは劇化していた。

 そんなわけで姫にはむしろ公認カップル化してもらった方が安心できるから、遠慮無く「銛ガール」になって特定の誰かをサクッと狙って頂きたいと思う。大抵は複数人同時に色恋営業を掛けるからおかしな事になっているという経験則がある。その事については、『サークルクラッシャーになりたくないなら、公認彼氏でも作って予防線張っとけばいいじゃない - 自意識高い系男子』にも書かれている。

みんなから平等にチヤホヤされて『オタサーの姫』になるでもなく、複数人に告られて『サークルクラッシャー』になるでもなく。オタサーでサークルクラッシャーになることを防ぐには、公認彼氏をひとりだけ作るのが一番。

オタサーの姫を永続化したい

 そういう意味では、自分がちやほやしていたオタサーの姫がサークルクラッシャーに変化する瞬間に立ち会いたくないのだろうと思う。それはグリーフシードを溜め込んだ魔法少女が魔女化してしまうのに似ている。僕がオタサーにいるのは俗世の色々なしがらみから逃れて「ふわふわタイム」を味わうためなのだから、こんなの絶対おかしいよ!となってしまう。

 オタサーの姫はオタサーの姫のまま永続化すべきであり、魔女化させてはいけない。この使命を叶えるために僕は「童貞騎士」としての武装を行い、そして散っていく事が多かった。

「童貞が女子に不自然なくらい紳士的に気高く接する」のが「童貞騎士(ナイツ)」だそうだ。この「気高さ」によって、相手の気持ちを読まない不審な振る舞いに繋がる訳か…。 「好きな子がいないのは正しい」と語ったあび子あび夫先生が、昔とてもいいことを言っていた。 「オタクは女の子にやさしいんじゃなくて、やさしくすることしか方法を知らないから、やさしくすることしかできないんですよ…」

 独りよがりに優しく、不自然に紳士的で、自分の気持ちを隠しながらクラっしゃられを排斥しようと暗躍する騎士が見据えているのは、もはや姫自身ではなく、姫を媒介にした「空間」の維持であった。仮に姫の歓心を得られた所で、コミュニティがイヌカレー空間になってしまった時点で敗北なのだ。だけど、結果としてそれらの行動がどうしようもない結末を呼び込んでしまっていたのではないかとも思う。

騎士としては承認をケチるべきではなかった

 本当にやるべきだったのは必要以上に「姫」として棚上げせずに、皆がフラットに向き合う事だったと今となっては思う。僕を含めたその場の誰の好意も必要がない事も多々あるのだろうし、その気もないのにそんな事をしてたらタチの悪い存在になってしまうのだけど、好意があったのに、素直に褒めたり、それを伝えないのはすごくダサかったと後悔していたりもする。「リスク分散」なんて事を考える必要がないという事は知ってほしかった。

 もちろん、全員が姫になれるわけではないし、だからこそ「元サークラですが、オタサーの姫が大嫌いです」というタイトルは正しいのだけど、姫がサークラになっていくというのも一般的であり、それを回避するために余計に事態を悪化させていった童貞騎士達がいたのだという事を語りたかった。

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