最高裁:勾留取り消し 痴漢否認男性の抗告認める

毎日新聞 2014年12月09日 20時43分(最終更新 12月09日 21時26分)

 京都府迷惑行為防止条例違反(痴漢)容疑で逮捕され、否認していた40代の会社員男性=大阪府=に対し、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)が現実的な証拠隠滅の可能性は低く勾留の必要はないとして、全員一致で勾留を取り消す決定を出していたことが分かった。決定は11月17日付。弁護人の池田良太弁護士(京都弁護士会)は「起訴前の勾留の可否を最高裁が判断したのは異例。否認事件での安易な勾留に警鐘を鳴らしたものだ」と評価している。

 京都区検は男性を即日釈放し、同19日付で不起訴処分とした。男性は計13日間、身柄を拘束されていた。

 男性は11月5日午前8時過ぎ、京都市営地下鉄の車内で女子中学生の下半身を触ったとして、府警に逮捕された。京都地裁が勾留請求を却下し、区検が準抗告。地裁の別の裁判官が「少女に働きかけて証拠隠滅する疑いがある」として勾留を認めたため、男性側は釈放を求めて最高裁に特別抗告していた。

 池田弁護士によると、男性は「否認しても何も聞いてくれず、一方的に閉じ込められた」と捜査当局に憤りを抱いているという。

 検察統計年報によると、勾留請求の許可率は2013年で98.4%。裁判所が検察の勾留請求を退けること自体が異例。【土本匡孝】

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