ネット文化が幅広い世代に浸透し、テレビ番組の作り方が変わりつつある。「演出」や「編集」が忌避される傾向が顕著になってきた。フィクションであるバラエティーやドラマでも、視聴者が求める「リアル」にどう応えるのか、制作者は苦心している。

 テレビ東京系のバラエティーが好調だ。2桁の視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)が定着している「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」(土曜夜、不定期)は、太川陽介と蛭子能収(えびす・よしかず)らが路線バスのみで目的地を目指す。蛭子の傍若無人な振る舞いをカットしないなど、珍道中をそのまま流すのがお約束だ。

 「YOUは何しに日本へ?」(月曜夜)は、空港に着いた外国人に目的を尋ねていきなり密着。人気番組が多い時間帯で健闘している。

 共通するのは「出たとこ勝負」。「路線バス」は目的地に着かないことすらあり、予定調和を排した「リアル」を視聴者に感じさせることに成功している。

 「4~5年前から工夫や演出を凝らした番組が拒絶され、『リアル』に見える番組が好まれるようになった。僕の現役時代には怖くてあんな風には作れなかった」。2000年前後に視聴率20%超を記録した「ガチンコ!」などを手がけたTBSの合田隆信制作二部長は話す。

 情報番組でも極力編集しない番組が人気だ。日本テレビ系「ミヤネ屋」(月~金曜午後)は、放送中に起きた注目の会見などをそのまま中継し、同時間帯で視聴率1位を続ける。「STAP細胞」の小保方晴子さんの会見を生中継し、タレントの矢口真里が1年ぶりに生出演で復帰したのもこの番組だった。

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