衆院選:大阪のおばちゃん 憲法、井戸端会議で語ったら

毎日新聞 2014年12月09日 15時00分

日本国憲法について講義する谷口真由美さん=大阪府豊中市の大阪大で2014年11月28日、幾島健太郎撮影
日本国憲法について講義する谷口真由美さん=大阪府豊中市の大阪大で2014年11月28日、幾島健太郎撮影

 ◇「大阪おばちゃん語訳」出版

 大阪のおばちゃんが井戸端会議で憲法について語ったら−−。交流サイト上で活動する女性市民団体「全日本おばちゃん党」代表代行で、大阪国際大准教授の谷口真由美さん(39)が「日本国憲法 大阪おばちゃん語訳」(文芸春秋、1188円)を刊行した。憲法のあり方は、衆院選で各党が論戦を交わす争点の一つだ。谷口さんは「憲法は9条だけちゃう。改憲や護憲や言う前によう知って、お友達に知識をひけらかして」と話す。

「三権分立って、司法、行政、立法って暗記させられたんちゃう? 私ら(国民)が真ん中でワーワー言うてチェックするのも大事なことです」

 11月下旬、大阪府豊中市の大阪大学豊中キャンパス。谷口さんが非常勤講師として教える全学共通科目「日本国憲法」の授業風景だ。2005年から教壇に立つが「お茶の間で聞いてるよう」「憲法を身近に感じる」と人気で、学生らの投票で優秀な教員に贈られる賞を4度受賞。新刊は「授業でしゃべってる内容を基にした」という。

 本は抜粋した約50の条文のおばちゃん語訳と、その解説で構成。例えば、前文の「日本国民は、恒久の平和を念願し……」の訳は、「私らは、ずっと平和がええなって思ってますねんわ」。安倍政権が憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使容認を閣議決定した際、話題になった「立憲主義」は「憲法っちゅうのは権力者が暴走せーへんように権力者を縛るものという考え方」と説明する。

 発足から2年、メンバーが4500人に達したおばちゃん党は、生活の悩みと政治を同列に語れる「敷居の低さ」が特徴だ。メンバーに衆院選で「争点はココ」と感じるトピックのアンケートを取ったところ、1位は特定秘密保護法の243票で、憲法改正も104票を得て4位に入った(複数回答)。谷口さんは「方言は、素の自分が出る言葉。憲法の理解を深めるために、本を参考に地元の方言に訳してもろたらオモロイかも」。四六判、216ページ。【反橋希美】

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