ここでは物書きに役立つ執筆支援ツール『Scrivener』の日本語化ファイルの配布と翻訳の仕方、初心者向けガイドなどを掲載しています。
翻訳とファイルの配布に関しては『Scrivener』制作サイドの許可をもらっています。
ユーザー様のお役に立ちましたら幸いです。
§ 『Scrivener』とは
『Scrivener』(スクリブナー)は、英語圏を中心に世界的に人気のある執筆支援ツールです。
テキスト編集はもちろん、「アウトライン編集」「コルクボード」「記事のメタデータ管理」「他形式への文書変換」など、文章作成に必要なあらゆる機能を網羅しています。
「見映えのいい文書」を作成するWORDや一太郎のようなワードプロセッサと異なり、「文章の構築」に主眼を置いているため、ページの装飾やレイアウトといったアクセサリ的な機能は除外され、「アウトライン編集の強化」「ドラッグ&ドロップによるアイデアメモの並び替え(コルクボード)」「脚注、コメント、引用の一覧表示」など、文章作成に本当に必要な機能だけを備えています。
特に、見出しの色分けやラベル付けなど、ユニークな機能を取り入れたアウトライン編集は、長文編集や、何階層もの文章構成を必要とする論文などに最適です。
またパートごとに編集したテキストは、WORD形式やPDFなどの変換時に一括編集して全体を連結することが可能であり、これまでパートごとにファイルを作成してはコピー&貼り付けを繰り返し、やっと一つの文書に仕上げていたような方も、Scrivenerの便利な機能に驚かれることと思います。
また記事に関連する画像や動画などを取り込んでメタデータとして管理したり、コメントやメモを含む草稿としてプリントアウトしたり、執筆に役立つ様々な機能が取り入れられています。
現在のところ、エディタは横書きのみ対応ですが、今年夏以降の新バージョンでは中国語やモンゴル語など、縦書き言語に対応した「バーティカルエディタ」が実装される予定です。(現在、開発中)
Scrivenerに縦書き機能が備われば、最強の執筆支援ツールになると思います。
ライセンス料は1本40ドルで、30日間の試用期間があります。
基本操作などの詳細はこちら→Scrivenerの使い方・基本操作
http://www.literatureandlatte.com/
日本語のサンプル・プロジェクト「オスカー・ワイルド編」を試したい方はMEGA Driveから「OscarWilde.scriv」zipフォルダごとダウンロードしてください。
心配な方はフォルダの中身を確認してからどうぞ。
右クリックするとダイアログが出ます。
その他のファイルもダウンロード可能です。
<使い方>
Scrivenerの体験版をダウンロードした後、[New Project] → [Open Existing Project.. ]からOscarWirlde.scrvのフォルダを開きます。
project.scrvxが実行ファイルです。
§ Scrivenerの日本語化
Scrivenerの基本メニューは英語ですが、翻訳ファイルを編集、もしくは、言語ファイルを本体ファイルにコピーすれば簡単に日本語化することができます。
– Scrivenerの日本語化に関するファイル –
★言語ファイル『Scrivener_ja.qm』・・本体フォルダの「translation」にコピーして、Scrivenerを日本語化します。
★翻訳ファイル『Scrivener_ja.ts』・・翻訳ツール「QT Lingust」を使って翻訳作業を行い、Scrivener_ja.qm を生成するためのファイルです。
ここで紹介している言語ファイル「edit_Scrivener_ja.qm」と翻訳ファイル「edit_Scrivener_ja.ts」は、私が個人的に翻訳した二次的なファイルです。『Literature & Latte』の許可を得て、WEBで配布しています。
個人利用に限り「edit_Scrivener_ja.qm」「edit_Scrivener_ja.ts」は自由に再編集、再配布して頂いてOKです。
ここでは言語ファイルの翻訳と生成、Scrivener日本語化の手順を説明しています。
「私が翻訳したものを、そのまま使ってもいい」という方は、下記の「Scrivenerの日本語化」にジャンプして下さい。 OscarWilde.scrv
1. 翻訳ファイルの作業用ファイル『edit_Scrivener_ja.ts』をダウンロード。
こちらからファイルをダウンロードして、ローカルに保存して下さい。(MEGA Driveで一般公開しています)
ファイル名の上で右クリックするとダイアログが出ます。
※ オリジナルの『Scrivener_ja.ts』(まったく手が加えられていないもの)を入手したい方は、ご自身で『Literature & Latte』から取り寄せて下さい。
私が配布している『edit_Scrivener_ja.ts』および『edit_Scrivener_ja.qm』に関しては権利を放棄しています。
個人利用での再編集、ユーザー同士のシェアはご自由に。
ただし、商用目的で『Scrivener_ja.ts』を翻訳し、言語ファイル『Scrivener_ja.qm』を生成する場合は、必ず『Literature & Latte』の許可を取ってください。。無断で商品化したり、不特定多数に再配布すれば違法です。
自身で翻訳したい方は、『翻訳に関する注意事項』を必ずお読み下さい。
2. 翻訳ツール『QT Linguist』をインストール
まず、『QT Linguist』というアプリケーションを公式サイトからダウンロードします。無料ツールです。
マニュアルはこちら。
http://qt-project.org/doc/qt-4.8/linguist-translators.html
↓ やや古いアプリですが、Windows7 64bitで動作OK。
3. 翻訳ファイル『edit_Scrivener_ja.ts』を開く
まず翻訳言語の設定をします。私は次のように設定しています。
次に「File」→「Open」から『edit_Scrivener_ja.ts』を開きます。
こういう画面が出てきます。「Japanese Translation」の空欄に日本語訳を入力するだけです。
左側に「済み」「保留」「未翻訳」のチェックマークがあるので、クリックして目印にして下さい。
置き換えたい言葉を探す時は、メニューの「Edit」→「Find」で検索して、修正して下さい。
一括で置換したい場合は、「Edit」→「Search & Translation」を利用します。
覚えておくと便利なショートカット
Ctrl + Enter 翻訳を完了して、次の未翻訳のワードにジャンプする
Ctrl + F 検索
F3 次の検索ワードに進む
Ctrl + B 原文をコピー(ただし「Japanese Translation」が空欄でないと機能しません。
4. 言語ファイル『Scrivener_ja.qm』を生成
翻訳が完了したら、「File」→「Release As…」で、「Scrivener_ja」という名前でファイルを保存して下さい。
自動的に.qmファイルに変換されます。
「Scrivener_ja.qm」ファイルが生成できたら、Scrivenerをインストールしたフォルダにアクセスし、「translations」を開いてファイルをコピーします。Windowsw7の場合、C:Program Files (x86)Scrivener など。
5. Scrivenerの言語設定
Scrivenerに日本語メニューを反映させるには、「Tool」→「Option」を開き、「General」の Formatting で「System Language(システムの言語)」を選択し、Scrivenerを再起動します。(言語の一覧にJapaneseがないのはScrivenerが未対応だから)
6. 翻訳されたファイルをそのまま使う
私が生成した言語ファイル「edit_Scrivener_ja.qm」をそのまま使いたい方は、下記からダウンロードして下さい。
自身でファイル名を「Scrivener_ja.qm」に変更し、「translations」にコピーして、Scrivenerのオプションで言語設定を「システムの言語」に→再起動すれば日本語化されます。
通常のアプリケーションやブラウザでファイルを開くことはできません。
Mega drive edit-Scrivener_ja.qm
次のようなアイコンが表示されたら「ダウンロード」を選択して、自身のPCに保存して下さい。
§ 翻訳に関する注意事項
§ Scrivenerの機能紹介
初めての方は・・
まずスタートアップ画面で「サンプル付きチュートリアル(Interactive Tutorial)」を選択し、名前を付けて適当な場所に保存して下さい。自動的に解説付きのサンプル記事が読み込まれます。
自由に編集できますので、いろいろ操作して、Scrivenerの機能を体験して下さい。
編集した「サンプル付きチュートリアル」を元の状態に戻すには、作成したファイルを.scriv フォルダごと削除すればOK。次回起動時よりオリジナルのチュートリアルが読み込まれるようになります。原本のファイルが削除されない限り、オリジナルのチュートリアルが失われることはありません。
こちらが最初の画面です。
いろいろ書き込んで編集機能を試します。
コメントや脚注の挿入も簡単。作成したこれらの項目は「インスペクター(Inspector)」と呼ばれる管理機能で一括プリントアウトしたり、本稿から除外して他文書に変換したり、自由なカスタマイズが可能です。
強力なアウトラインプロセッサー機能とコルクボード。思いついた事を次々にインデックスカードに書き留めます。
カードはドラッグ&ドロップで入れ替えOK。プロット構築が苦手な方も全体の流れが簡単に整理できます。
アウトラインに沿って、サイドのエディタで本文の執筆ができます。パートごとに校了した本文は変換や印刷時に全て自動的に連結されます。
また階層や見出しの順番を入れ替えれば、それに対応した本文もそのまま移動。今までコピー&ペーストを繰り返して四苦八苦していた方も、これで楽々、一つの文書に完成できます。
それぞれのパートに属するメタデータも一覧管理。「アイデア」「推敲中」「校了」など、自由にラベルとステータスを作成して、プロット構築の手助けをします。
メタデータの編集。色分け、項目の増減など、管理も簡単です。
エディタは「ツール」→「オプション」でプレビューを確認しながら設定できます。エディタの「フォントの設定」は、ブルーの「A」のアイコンをクリックして選択します。「表示(Appearance)」で設定できないので、ご注意下さい。(探すんですよね・・)
変更した設定がすぐに反映しない場合は、Scrivenerを再起動して下さい。
全画面での編集も可能です。その場合、背景が透過されます。透過度なども調整できます。
§ Scrivenerのライセンスの購入
ライセンスは同じ住所に住む家族(複数PC)で共有しても構いませんが、不特定多数のPCにコピーするなど、不正を繰り返すとシリアルナンバーがブラックリストに掲載されて二度と使用できなくなりなます。
ライセンスは現バージョンのみ有効です。
マイナーなアップデートは公式サイトから無料でダウンロードできますが、次世代のバージョンアップ製品は有料です。
いったんオンライン決済をしたら返金には応じられません。必ず試用版を利用してから購入を決めてください。
カートに商品を追加したら、「Checkout」で決済画面に進みます。
必要な個人情報を記入します。サポートを受ける際、ライセンスの確認に必要な情報なので正確に。
なお・・
2013年夏以降に縦書きエディタが実装される予定ですが、あくまで「開発中」なので、確実なリリース情報ではありません。
詳しくは『Literature & Latte』にお問い合わせ下さい。多数の要望が届けば、スタッフも開発を急ぐはずです。
何度も繰り返しているように、ここで紹介している『edit_Scrivener_ja.ts』は、私が個人的に手を加えたもので、自分が使うのに分かりやすいよう、かなりの部分で超訳しています。したがって公式採用は辞退してます。
「我こそは」と思う方は、日本語ファイルを作成して「Literature & Latte」に送って下さい。
公式採用されれば、何か特典があるかもしれません。
Scrivenerがより多くの日本人ユーザーに浸透するよう、素晴らしい翻訳を提供して下さるボランティアを募集しています!
訳者: 阿月まり
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