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 衆院選では、他国への攻撃に自衛隊が反撃する集団的自衛権の行使容認をめぐる議論が高まっていない。近く自衛隊に入る若者、戦地に赴いた体験を持つ高齢者。市民はそれぞれの思いで国の行く末を見つめる。12月8日は、73年前に太平洋戦争が始まった開戦記念日だ。

■「国のため」意味考え始めた

 岩手県にある花巻東高校3年の菊池海斗さん(17)は11月、陸上自衛隊の自衛官候補生の内定をもらった。来春から訓練に入る。

 人のために働く消防士になりたいと思い、東京消防庁や地元の消防本部を受けたが不合格だった。5人兄弟の2番目。「親に負担はかけられない」と、進学ではなく、安定した仕事を求めた。東日本大震災の被災地で活躍する自衛官の姿も印象に残っていた。

 9月ごろ、父の克祥さん(48)に「自衛隊を受けてみようと思う」と伝えた。父は「もし戦地に行かされたら大丈夫なのか」と猛反対した。海斗さん自身、「集団的自衛権の行使容認の閣議決定」は気になった。自分なりにニュースなどを調べたが、なかなか腑(ふ)に落ちなかった。