中南米諸国をはじめとする新興国が「通貨戦争」に強い不満を表明していたのはそんなに昔のことでない。欧米諸国による金融の超緩和政策と同時に、10年間におよぶ商品価格の高騰が起こり、新興国には資本が流れ込んだ。そして、新興国通貨の価値を実体より高い水準に押し上げてしまった。
こうした時代は終わりを告げた。その要因はロシアと国際社会の緊張、中国財政への懸念、堅調な米国経済だけでない。そのなかでも最も大きな変化は、商品相場の急落によって、外国資本が(新興国市場から)逃げ出そうとしていることだ。過去3カ月間で、JPモルガンの新興市場通貨指数は対ドルで約8%低下した。個別にみると、一部の脆弱な通貨の下落幅はもっと大きくなっている。例えば、ブラジルのレアルは17%下がり、ロシアのルーブルの価値はほぼ半分に落ち込んだ。
■ドル高、新興国混乱の前ぶれ
歴史を振り返ると、ドル高は発展途上国が混乱する前ぶれになってきた。国際決済銀行(BIS)が発表した直近の四半期報は、この法則が再び証明される可能性を示唆する。
1990年代後半のアジア通貨危機の後、多くの新興国は自国通貨のドル連動をやめ、海外からの借り入れを抑制してきた。だが、金融機関を除く企業は、主に外貨建ての社債を発行し、異なる動きを示してきた。何よりも高利回りを求める欧米の資産運用会社は、こうした社債に飛びついた。
BISの四半期報によると、新興国の借り手は世界でこれまでに2兆6000億ドルの債券を発行しており、このうち75%はドル建てだ。
新興国の企業は外貨建てによる低金利の借り入れでコストを圧縮し、優位に立てたと思われる。だが、それによって通貨のミスマッチ(不整合)が生じた。それは、自国通貨に比べ明らかに安い(金利が低い)ドルで自国の資産を取得することを指す。しかし、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和政策を終え、米国の金融資産の価格が上昇している現状では、資金調達の環境が急変するリスクが生まれる。ドル高が進めば、新興国の債務者による支払額がドル建てで増えるだけでなく、返済に使うドルを得るため、より多くの自国通貨を売却しなければならなくなる。
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