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シリーズ・日本のアジェンダ 総選挙の焦点 アベノミクスの通信簿

格差拡大で中間層は消滅に向かう!?
“普通の人”がアベノミクスを支持すると割を食う
――杉浦哲郎・日本経済調査協議会専務理事に聞く

ダイヤモンド・オンライン編集部
【第3回】 2014年12月8日
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貧困解消というスローガンだけでは不十分
全国民の底上げが国家の成長には欠かせない

 たとえば、中間層がまだ大勢いるドイツでは「ミッテルシュタンド(中小企業)」が製品の競争力を高め、経済を支えている。彼らの多くは都市部ではなく、地方に住んでいるから、ドイツでは地方・中小企業・中間層が元気だと言えるだろう。

 安倍首相も今年に入って地方創生を掲げるようになった。しかし、使途を定めない「一括交付金」の創設を検討するなどとしているが、補助金をバラまけば、地方や中小企業、中間層が元気になるかというと、そんなに簡単な話ではない。それこそ、中小企業が海外に販路を見つけることをサポートするなど、地道で時間をかけたアプローチを積み重ねる以外に方法はない。

 アベノミクスは株高・円安・公共投資増加など、いずれも短期で分かりやすく結果を出すことに腐心した。経済の底上げにつながってはいないから、一瞬良くなったように見えたが、効果が剥がれ落ちるのも早かったということだろう。

 今回の選挙で、民主党などが格差問題を争点にしているが、単純に「給料が減りますよ」といった不平・不満に訴えかけるのではなく、地方や中間層、中小企業が元気にならなければ、日本経済の成長はないのだという大原則を、もう一度考え直す必要があるのではないか。(談)

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12月14日に投開票される今回の衆議院総選挙は、安倍首相自ら名付けて「アベノミクス解散」。安倍政権の経済政策であるアベノミクスをこのまま継続していいかどうかを問う選挙というわけだ。そこでDOLでは「シリーズ・日本のアジェンダ」で、アベノミクスをはじめ安倍政権が進めてきた社会保障、格差問題、エネルギー政策、女性活躍、外交について、その成果を検証する。

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