貧困解消というスローガンだけでは不十分
全国民の底上げが国家の成長には欠かせない
たとえば、中間層がまだ大勢いるドイツでは「ミッテルシュタンド(中小企業)」が製品の競争力を高め、経済を支えている。彼らの多くは都市部ではなく、地方に住んでいるから、ドイツでは地方・中小企業・中間層が元気だと言えるだろう。
安倍首相も今年に入って地方創生を掲げるようになった。しかし、使途を定めない「一括交付金」の創設を検討するなどとしているが、補助金をバラまけば、地方や中小企業、中間層が元気になるかというと、そんなに簡単な話ではない。それこそ、中小企業が海外に販路を見つけることをサポートするなど、地道で時間をかけたアプローチを積み重ねる以外に方法はない。
アベノミクスは株高・円安・公共投資増加など、いずれも短期で分かりやすく結果を出すことに腐心した。経済の底上げにつながってはいないから、一瞬良くなったように見えたが、効果が剥がれ落ちるのも早かったということだろう。
今回の選挙で、民主党などが格差問題を争点にしているが、単純に「給料が減りますよ」といった不平・不満に訴えかけるのではなく、地方や中間層、中小企業が元気にならなければ、日本経済の成長はないのだという大原則を、もう一度考え直す必要があるのではないか。(談)