<衆院選>オール福島どこへ 与野党非難合戦
◎10月知事選相乗り「復興に与野党なし」合言葉
福島県内の衆院選選挙区で、東日本大震災からの復旧復興や東京電力福島第1原発の事故対応をめぐり、与野党のつばぜり合いが過熱している。10月の福島県知事選で「復興に与野党なし」を合言葉に、共産党を除く主要政党が相乗りして内堀雅雄知事(50)を誕生させたばかり。当時、各政党が唱えた「オール福島」は、非難の応酬にかき消されつつある。
<有志の会解散>
「原発事故の総括をしないまま、安倍晋三首相は機械的に原発を再稼働しようとしている」
5日、棚倉町の文化センターで、3区から立候補している民主党の前議員が熱弁を振るった。
電力各社が打ち出した再生可能エネルギーの買い取り中断にも触れ、「エネルギー政策が3.11前に戻っている。政府の姿勢を疑う」と安倍政権の対応を非難した。
自民党も民主党批判を展開する。公示前にあった自民党県連選対本部の事務所開きでは、岩城光英会長(参院福島選挙区)が「大震災直後、民主党政権の対応策は後手後手だった。自民党が政権を奪取してから復興の道筋がついた」と自画自賛した。
知事選では自民、民主、公明、社民4党が「県議団有志の会」を設立。中央の与野党対立を福島に持ち込むべきではないと口々に訴え、「オール福島」を旗印に内堀知事圧勝の原動力となった。
「県議団有志の会」は11月19日に解散した。報道各社に送られたファクスは「政局が混迷を増す中、この書面をもって解散する」とあり、有志の会メンバーが「昨日の友が今日からは敵だ」と苦笑いするほど素っ気ない文面だった。
<「致し方ない」>
知事選で「オール福島」を掲げた与野党がぶつかり合う衆院選について、民主党県連の亀岡義尚幹事長は「福島の復興が忘れられており、非常に残念だ」とこぼす。一方、自民党県連の杉山純一幹事長は「知事選と違い、国政選挙は各政党の政策を掲げ戦う。致し方ない」と理解を求める。
5区で立つ民主党の前議員のように「復興に与野党なし」と今も訴え続けるケースはまれだ。
浪江町から二本松市に避難する時計店経営原田雄一さん(65)は「福島復興が大きな争点にならず、避難者は蚊帳の外に置かれている。政争の前にやるべき事はたくさんあるはずだ」と話す。
2014年12月09日火曜日