衆院選:「自治体消滅」危機 存続へ「人とカネ奪い合い」

毎日新聞 2014年12月09日 10時02分(最終更新 12月09日 12時32分)

歴代首相の地方活性化策
歴代首相の地方活性化策
地方活性分野の各党公約
地方活性分野の各党公約
「消滅可能性都市」の割合が高い道県
「消滅可能性都市」の割合が高い道県

 「新潟はおいしいお米も野菜も魚もある」「和歌山のかんきつ類はすばらしい」。遊説先で、当地の特産物を持ち上げ、安倍晋三首相は「地方創生」をアピールする。

 2040年、896の市区町村に消滅の恐れ−−。今年5月、一つのリポートが日本中に衝撃を与えた。発表したのは、増田寛也元総務相ら民間有識者でつくる日本創成会議。40年に全国の約半数の市区町村で出産の中心世代である20〜39歳の女性が10年の半分以下になり、その結果、自治体が消滅する可能性があるとの内容だった。

 来年の統一地方選を控え、アベノミクスの恩恵が薄い地方向けの政策を探していた自民党が「地方創生」を打ち出したのは、このリポートが契機だった。第2次安倍改造内閣(9月)では地方創生担当相を新設。衆院解散当日の11月21日には「まち・ひと・しごと創生法」など地方創生関連2法を駆け込みで成立させた。来年度から5年間の人口減対策の工程表となる「総合戦略」や50年後の人口1億人維持を目標に掲げる「長期ビジョン」の策定を急ぐが、具体化はこれからだ。

 旗振り役である石破茂・地方創生担当相の地元・鳥取県は、19市町村のうち13町が消滅可能性都市に挙げられた。岡山・兵庫両県との県境に位置する山間地、若桜(わかさ)町は、その可能性が県内で最も高いとされている。「わしの生きてる間に、地方が元気になる時代はこんかもしれんなあ」。同町でマスの養殖を営む平家一寿さん(85)は裏山のスギ林を見つめ、ため息をついた。

 同町は1960年の9616人をピークに、高度経済成長期から大都市圏への人口流出が続いた。現在の人口は約3600人で、2年前から65歳以上の人口は4割を超える。昨年度は出生数6に対し、死亡数は76だ。加速度的に進む人口減少への対応策として、今年度から全国に先駆けて保育料の完全無償化を開始し、子育て環境の充実を図った。移住者対策として、若者向け住宅の建設も進めている。

 だが、町の財政収入の8割は地方交付税や国庫支出金などの依存財源で、町税などの自主財源は1割。人口減に伴い、町税収入は年々減っている。小林昌司町長は「過疎だからと切り捨てるのではなく、過疎だからこそ自由に使える交付金が必要だ」と話す。

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