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【スポーツ】

<首都スポ>女子フィギュアに新星 中2の樋口に浅田真央 再来の声

2014年12月9日 紙面から

ジュニアグランプリファイナルに向け調整する樋口新葉=東京・明治神宮外苑アイススケート場で(沢田将人撮影)

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 フィギュアスケートの新星が誕生した−。21世紀の新しい時代が始まった2日目、2001年1月2日に生まれたことから、名前に「新」の一文字をつけられたという樋口新葉(わかば、東京・日本橋女学館中2年)だ。国内外のジュニア大会で鮮烈なデビューシーズンを送り、あの浅田真央の再来と言っても過言ではない13歳のスケーター。今月11日に開幕するジュニアグランプリ(GP)ファイナル(スペイン・バルセロナ)に初出場する樋口が、ライバルのロシア勢にどこまで迫り、表彰台に上がれるのかどうか。期待と注目が集まる。 (フリージャーナリスト・辛仁夏)

 「大きなチャンス。自分がまさか出られるとは思っていなかったけど、今年頑張れば来年も頑張れる気がする」。初出場となるジュニアGPファイナルで出場選手中最年少の樋口は、同世代のライバルとの勝負に勝って表彰台を狙う意欲満々だ。

 ジュニア参戦1年目の今季の目標は「全日本ジュニア、ジュニアGPファイナル、世界ジュニアに出て表彰台に乗ること」だった。その一つはすでにクリアした。11月、全日本ジュニア選手権(新潟)でSPもフリーも1位での初優勝。中学2年での全日本ジュニア制覇は、ノービス(小学生)時代から逸材と言われてきた安藤美姫や浅田真央に並ぶ快挙だった。18年の韓国・平昌(ピョンチャン)五輪での活躍が期待される楽しみな新星が輝き始めた。

 今年春から夏にかけて9センチも身長が伸び、今が育ち盛り。勉強は学校の授業に出る時だけで、スケート漬けの毎日を送っている。朝6時からの早朝練習をこなし、放課後は夕方から夜の練習に取り組む。1日約2時間から5時間の氷上練習は週7回で休みがない日々だという。

 はたから見れば過酷な競技生活。でも、本人は「つらいときもあるけど、あまり気にしない。今の楽しみは、あったかいふとんで寝るのが一番好き! 毛布とふとんの中にもぐるのが好き! ウフフ」と無邪気に笑う。自分の性格について「明るく勇気がある」と答える利発で元気な女の子。指導する岡島功治コーチが「気が強くて勝ち気で生意気」と明かすように、一流アスリートの特性は既に備わっている。取材者の質問にしっかりした口調で受け答え、芯の通った自己主張も明確だ。

 そんな13歳には「肝っ玉が据わっている」と思わされるエピソードがある。3月の世界選手権のエキシビションでのことだ。演技途中で、曲が止まるハプニングに全く動じることなく、1万人を超える満員の観客の中で滑りきってみせた。樋口本人は「あまり覚えていない。曲が止まっちゃったのはショックだったけど、滑り続けたことでアピールできたかなと思いました。演技の後で『すごいね』と言われてうれしかったです」とあっけらかんだ。岡島コーチは「普通だったらどうしたらいいか戸惑うところですが、観客が手拍子をしてくれたので、何事もない様子で滑り切りましたね。ベテランだったらそのまま滑ってしまうでしょうけど、まだノービスの選手でしたから大したものだと思いました」と感嘆した。

 「天性の身のこなしの良さ」(岡島コーチ)から来る圧倒的な滑りの速さとジャンプが武器で、エネルギッシュでパワフルな演技が光る。「すごい人だな」と尊敬する浅田真央のように、来季は「トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に挑戦したいです」と言い、「今はまだ、練習で回ってもこけるし、立つのが難しい。でも、頑張れば跳べると思います」ときっぱりと口にした。 

 「絶対に行けるか分からないけど、出てみたい試合だし、出たいと思います」と、出場を夢見る4年後の平昌五輪までには「スピンも、ジャンプも、表現も、全てが上手にできるスケーターになりたい」。今後の成長が楽しみな選手である。

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 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中

 

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