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<残留への軌跡>(中) 正反対のサッカー

(2014/12/ 9 08:16)
今季最終戦でJ1残留を決め、サポーターの前で“勝ちロコ”を踊る清水のメンバー=6日、アイスタ日本平

 ゴトビ監督解任を受け、清水ユースの大榎監督に白羽の矢が立った。清水で初のプロ契約選手として黎明(れいめい)期を支え、現役引退後は清水コーチ、早大監督を歴任した。長期的にクラブを改革する適任者としてファンも待ちわびていた「レジェンド監督」が誕生。しかし、最初の使命はチームをJ1に残留させることだった。

 就任会見で「オランダのようにワイドに張って攻撃するのは日本人には無理があると思う」と語った。攻守で数的優位をつくるのが日本サッカーの進む道とし、清水ユースなどで指針を与えてきた。

 7月下旬、フロント上層部から最初に打診された際、大榎監督は固辞した。「自分がやるより、現在チームにいるコーチが(新監督を)やった方がいい結果をもたらすのでは」と進言もしたという。前監督と方向性がまるで正反対の自分が就任すれば、危機的な状況のチームはリスクを冒す。それでもクラブの強い熱意に押され、7月30日から指導に当たった。

 指揮官の交代で練習は激変した。対人プレーを伴う場面が増え、当初はけが人が続出。就任から1カ月後の8月30日の鳥栖戦は苦しい台所事情の中、19歳DF三浦弦が初先発したほか、新人の18歳金子と、清水ユース所属で高3の水谷が途中出場でプロデビューした。ただ、若手は臆さず戦い、後に選手層を厚くすることになった。

 立て直しが急がれる中、新指揮官はチームの厳しい現実に直面していく。フィジカル面では練習時間が少しでも長くなると、ほとんどの選手が予想以上に動けなくなった。ゴトビ監督が戦術をきめ細かく伝える一方、大榎監督は「ピッチではロボットになるな」と選手に伝え、局面で自由を与えたが、発想に乏しいプレーが続いた。

 試合ごとに新たに浮き彫りになる課題を、その都度修正する地道な作業の繰り返し。理想のサッカーには程遠く、今季に限ればゴトビ監督の前半戦が6勝3分け8敗21得点24失点、大榎監督の後半戦が4勝3分け10敗21得点36失点と、監督交代後も不振から脱しきれなかった。就任から130日後、リーグ最終戦でようやくJ1残留を決めた。危機は乗り越えたが、真価が問われるのは来季以降となる。

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