2014年12月8日21時19分
熊本県から水俣病と認定された関西の患者2人(故人)の遺族が、原因企業チッソ(東京)に補償を求める訴訟を8日、大阪地裁に起こした。2人は患者と認定される前にチッソから損害賠償を受けたことから、認定患者への慰謝料などを定めた協定に基づく補償をチッソから拒まれている。
訴状などによると、2人は1973年と77年に熊本県に患者としての認定を申請した。だが、認定されない状態が続いたため、国、県、チッソに損害賠償を求めた「関西訴訟」の原告団に参加。2004年に勝訴が確定し、各650万円の賠償金を得た。
その後も行政不服審査請求などを続け、亡くなった後の09年と13年に患者として認定された。だが、チッソは「(関西訴訟で)決着済み」として協定に基づく補償は拒否。遺族は今回の提訴で、補償協定上の権利を持つことの確認を求めている。補償協定は73年、当時の患者側とチッソの間で結ばれた。亡くなった場合も含め、認定患者にチッソが1600万~1800万円の慰謝料や医療費などを支払うと定めている。
関西訴訟の勝訴で賠償金を得た後、熊本県に水俣病と認定された患者は他に4人いる。提訴した遺族の一人は「水俣病で人生を振り回された。同じように苦しんだ人の救済にもつながれば」と語った。チッソ総務部の担当者は「訴状が届いていないためコメントはありません」と話している。
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朝日新聞社会部
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