中国の11月の輸出は予想+8.0%に対し、+4.7%にとどまりました。一方輸入は予想+3.8%に対し-6.7%という結果でした。

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最近、原油価格をはじめとしてコモディティ価格に下落プレッシャーが働いていますが、今回の輸入の数字はボリューム・ベースで見ても輸入が低迷していることを感じさせる数字でした。

上海総合指数は「これで追加利下げが期待できる」として急伸していますが、それは少々馬鹿げた買い理由だと思います。

11月21日に発表された利下げでは、1年物貸出基準金利が0.40%引き下げられ、5.6%になりました。

これは、あくまでも一回限りで打ち止めというシナリオ下でのみ好感されるべきであり、中国の投資家が期待しているような、矢継ぎ早に中国人民銀行が利下げするシナリオとは、すなわちソフトランディングの失敗を意味します。

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そのシナリオでは中国人民銀行が後手に回ってしまったと市場は受け取るでしょう。

歴史的に、資産バブルが起きたとき、中央銀行がそれを軟着陸させようとして成功した例は稀です。

殆どは日本の1990年のバブル崩壊、アメリカのサブプライム・バブル崩壊のように軟着陸に失敗しました。

中国の場合、それらの前例とちがって、じっくり長い時間をかけながら、ゆるり、ゆるりとガス抜きをしています。

だからそれが成功する可能性も高いと思うのです。

ただ中国人民銀行が今後再び利下げし、1年物貸出基準金利が2010年の頃の水準、すなわち5.3%を割り込むと、それはこれまでとは一線を画する展開だと市場関係者は受け止め、緊張が高まると思うのです。