印刷ページ

(前回から読む

―― タカラヅカ100周年の今年は、新春の東京宝塚劇場公演「Shall we ダンス?」(雪組)の演出を担当されました。年が明けた101周年の、宝塚大劇場での幕開け公演「ルパン三世」(同)も、小柳さんが手掛けられます。

ルパン三世 −王妃の首飾りを狙え!−」。雪組の新主役コンビ、トップスターの早霧せいなと、トップ娘役の咲妃みゆの、宝塚大劇場お披露目公演でもある。(C)宝塚歌劇団

小柳:「ルパン三世」はアニメはもちろん、各方面で人気の高い作品です。今年の8月には小栗旬さんの主演で実写版が公開されましたし、それ以前には目黒祐樹さんが主演した実写版もあるんですよ。

―― 1974年公開の「ルパン三世 念力珍作戦」ですね。ちなみに目黒祐樹さんは、松方弘樹さんの弟さん、と即座に分かるところに世代が出ますね(笑)。小柳さんの「ルパン三世」の見どころは、どこになりますか。

小柳:タカラヅカの舞台として楽しいものにしたいと、ひたすらそこを目指します。新春公演なので、お正月映画のように娯楽に徹してやっていこうと思っています。

―― 小柳さんの演出作品は、随所にマニアックな仕掛けをまぶしつつ、タカラヅカの王道であるロマンチックな恋がきちんと描かれ、かつ、さまざまな持ち味を持つ生徒たちに、バランスよく見せ場が用意されている、ということで評判です。楽しみですね。

密かにリスペクト、アキバレンジャー

小柳 奈穂子(こやなぎ・なおこ)/宝塚歌劇団演出家
1976年、長野県に生まれ。4歳から10歳まで大阪、以降は東京で育つ。慶應義塾大学文学部3年の1998年に、宝塚歌劇団嘱託の演出助手に採用され、99年に同劇団に入団し制作部に配属。2002年、宝塚バウホール公演「SLAPSTICK」で演出家デビュー、11年、「めぐり会いは再び」で大劇場デビュー。15年は新年の幕開け公演「ルパン三世」の脚本・演出を担当する。(写真:樋口 とし、以下同)

小柳:マニアックでオタク的というのは、その通りで、実は私がひそかに狙っているのが、「非公認戦隊アキバレンジャー」という特撮番組なんです。これは、東映が自分のところで作った番組の「スーパー戦隊シリーズ」をパロディーにしたもので、戦隊オタクのお兄ちゃん、コスプレイヤー、女子高生らが主役となって、過去のいろいろな戦隊物の知識をタテに、秋葉原で変身して敵と戦う。

―― 小柳さんがすごく好きそうですが、それがどうタカラヅカにつながっていくんですか?

小柳:いや、何がすばらしいって、自分のところの特撮シリーズをネタにして、セルフパロディーをここまでやってのける東映さんがすばらしいんです。その懐の深さと、パロディー作品を本気で作っている面白さ。私の「ルパン三世」も、タカラヅカのパロディーとして楽しんでいただけるまでに持っていけたらいいな、と思っています。

―― タカラヅカには、そういう懐の深さがあると思います。ところで前作の「Shall we ダンス?」も、「ルパン三世」も、どちらも原作ものですよね。

小柳:はい。タカラヅカの舞台には、オリジナルと原作ものの2種類があります。演出家サイドから、「あの原作を舞台化したい」とアイデアを出すこともありますが、この2作はどちらも歌劇団から原作者に舞台化をオファーしたもので、私から提案したものではありませんでした。

―― 「Shall we ダンス?」は、普通のサラリーマンが主人公で、きらびらやかなタカラヅカでは異色の舞台化ですが、話がきた時にピンとひらめくものはあったんですか。

小柳:いや、正直に言うと、なかったんです。これ、どうやるんだろうと思って。

―― そういう時に、「いえ、私は遠慮します」という選択肢は演出家にはあるんですか。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



バックナンバー>>一覧

関連記事

コメント

参考度
お薦め度
投票結果

注目コラム〜マネジメントのお薦め

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事