ジャッキー・チェン映画の「面白さ」を分析してみた
アクションが得意なメーカーや、ドキュメンタリーが得意なメーカーがあるように映画のフィルムメーカーには得意ジャンルが存在します。過去40年間、アクションとコメディを得意としてきたのはジャッキー・チェンだけでしょう。
この相反する2つのジャンルを融合させ、観客を楽しませることができるからこそ、ジャッキー・チェンの映画は他とは違う面白さがあるのでしょう。今回は兄弟メディアコタク・ジャパンが掲載していた、「ジャッキー・チェン映画の分析」から幾つかピックアップしてみましょう。
アクションとリアクションが同じフレームに収まっている
カメラを動かさないことの利点は、ジャッキーの超人的な動きを観客が余すところなく楽しめるというだけではありません。アクションとリアクションを同じフレームに収めることができるのです。
例えば、「ポリス・ストーリー2」(1998年)の壁に囲まれた通路でジャッキーがトラックに追われるシーンでは、一連の動きとその位置関係が全て見えるようになっています。
同様の撮り方のシーンが「ラッシュアワー3」にも登場しますが、カメラが切り替わってしまい全てを通して見ることはできません。また、この原則はアクションだけでなく、コメディにも適応されます。
観客にリズムを感じさせる
アメリカの映画が理解していないことのひとつに、「リズム」が挙げられます。動きにもショットにも、編集にさえもリズムが存在しているにも関わらず、それが無下にされているのです。
一方、ジャッキーは音楽的リズムを非常に大切にします。そして、それは熟練のマーシャルアーツ・パフォーマーにとっても容易ではありません。ジャッキーは初期の作品でもチャイニーズ・オペラのようなリズムを披露しているのがわかります。
80年代中盤になるとお抱えのスタントチームと演じるようになり、その動きは独特なものになりました。
しかし、アメリカでは監督も編集者もこのリズムの大切さを理解していないのです。彼らはひとつひとつの攻撃に合わせてカットしてしまうので、観客はリズムまで楽しむことができません。香港の場合、観客がリズムを掴むまでカメラを固定したままなのです。
ジャッキーの映画から学べることは、アクションとコメディが全く方向性の違うジャンルではないということです。どのジャンルでも、視聴者は「最高の演技」を求めているのです。コタク・ジャパンでは更に細かく分析結果を載せていたので、ぜひ確認してみてください。
source: コタク・ジャパン
(ギズモード編集部)
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