衆院選中盤情勢:風なき圧勝ムード…本社調査

毎日新聞 2014年12月08日 07時01分

野党共闘194選挙区の情勢
野党共闘194選挙区の情勢

 毎日新聞の特別世論調査による衆院選中盤情勢で、自民党が300議席を上回る勢いを示し、衆院選後に巨大与党が誕生する可能性が高まった。だが、追い風なき大勝の兆候には自民党内には戸惑いもある。有権者の関心が低く、組織力のある政党の議席増が見込まれているというのが実態で、野党では共産党が堅調だ。伸び悩む民主党からは反自民勢力として対抗軸になれていない現状に落胆の声が漏れた。

 ◇自民、組織強化が奏功

 「追い風が吹いてるわけではない。(自民党単独で)300議席というのは、今までの常識からすると考えにくい。何度も選挙をやっている者としては、本当かねという思いだ」。自民党の谷垣禎一(さだかず)幹事長は7日、東京都内で記者団に、毎日新聞などの情勢調査で自民党の圧勝が予想されていることをいぶかった。

 無風ともいえる中で、自民党は都市部、農村部に関わりなく全国的に優位に戦いを進めている。野党に善戦を許しているのは北海道と愛知、三重、沖縄の3県のみ。「肌感覚からすると報道は不可解」と自民党幹部も首をかしげる。

 自民党が堅調な背景には、有権者のしらけムードがあると見られている。投票率は「50%台前半まで落ち込むのではないか」(別の幹部)との推測すらある。前の2回は「政権選択」との位置づけが明確だった。今回は安倍政権の2年間の政治に対する信任投票との色合いが強く、熱気に欠ける面があるのは否めない。

 「第三極」ブームが去り、保守志向の強い有権者が自民党に回帰したのも一因とみられる。同党関係者は「浮動票を掘り起こそうとしている維新の党などが苦戦し、組織の基盤がしっかりしている自民、公明、共産の各党が善戦している傾向が顕著だ」と分析する。

 自民党の組織は、野党時代に支持団体が離れ弱体化した。このため、12年に政権に復帰して以降、かつては派閥が行っていた新人議員教育を、党本部の主導に変更。後援会組織の作り方や支持者との付き合い方など、伝統的な選挙組織作りを新人議員に教え込んだ。背景には、郵政選挙の際に大量当選した「小泉チルドレン」の多くが選挙地盤を築けぬまま、再選を果たせなかったことがある。

 安倍政権は長期政権になるとの見方が強まる中、業界団体などは自民党に戻ってきており、選挙でも手足となって活動する昔ながらの姿が徐々に復活していることも、組織力の強化につながっているようだ。

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