共同通信が10月、駿河台大の八田真行専任講師が内部告発サイト「ウィキリークス」日本版を12月に開設するとの記事を配信し、産経新聞のニュースサイトや北海道新聞など一部の新聞が10月18日付で相次いで報じた。しかし、八田氏は「講演で『ウィキリークス日本版』とは一言も言っていないし、実際にウィキリークスとは異なる」と指摘している。
- 日本版のウィキリークス 大学専任講師が12月にも(共同通信 2014/10/18 05:02)
- 内部告発サイト「ウィキリークス」日本版 大学専任講師が12月にも開設へ(産経ニュース 2014/10/17 20:57)
北海道新聞2014年10月18日付夕刊8面(左)、西日本新聞同日付朝刊8面(右)
八田氏は10月17日、日本記者クラブの記者ゼミで「データ・ジャーナリズムの現状と将来」というテーマで講演。その中で、八田氏が12月に匿名リークサイトを設立することを明らかにした。しかし、八田氏は、「ウィキリークス日本版を開設する」と報じたハフィントン・ポストの記事=共同通信の記事を引用=を見て、「俺はウィキリークスの日本版作る気は(少なくとも今のところは)全然無いんだけどな」とツイッターで発信。八田氏は、日本報道検証機構の取材に対し、「講演では匿名化技術が用いられた例としてウィキリークスに触れたが、自分が『ウィキリークス日本版』をつくるとは一言も言っていない」と答えた。ウィキリークスは匿名化技術などで提供を受けた秘密文書をサイトで公開しているが、八田氏が設立を構想しているサイトは情報を公開することはせず、契約した報道機関に提供することを想定しており、その点がウィキリークスと全く異なるという。
産経新聞大阪版10月28日付朝刊には「日本版ウィキリークス 国と報道機関に重い試練」という見出しで、外部執筆者の論評が掲載されるなど、ウィキリークスと同様のサイトが日本にも開設されるとの誤解を広めた可能性が高い。しかし、共同通信や産経新聞のニュースサイトでは続報も含め、訂正されていない。
毎日新聞も10月17日付でニュースサイト上に八田氏が「匿名リークサイト」を開設するとの記事を掲載したが、書いた記者が「ウィキリークスとは性格が異なります。『日本版ウィキリークス』とするのは誤解を招きやすい」と指摘していた(紙面化されず、電子版記事は現在削除されている)。東京新聞は10月31日付記事「内部告発に新兵器」で、八田氏のインタビューをもとにウィキリークスと異なることを明記。神奈川新聞も同様のインタビュー記事を掲載している。
俺はウィキリークスの日本版作る気は(少なくとも今のところは)全然無いんだけどな…:「ウィキリークス」の日本版、12月に開設へ 本家との違いは? http://t.co/e7Z8eHlKQt
— Masayuki Hatta (@mhatta) 2014, 10月 19
私が(というかGlobaLeaks)が提供したいのは、まさしくdumb pipeというか、土管みたいなもんですよ
— Masayuki Hatta (@mhatta) 2014, 10月 19
リーク元からリーク先にデータを引き渡すだけで、基本的にわしは素通りだからのう(というかそれが匿名性維持のキモ)。自分でリークを分析したり記事書いたりしていたウィキリークスとはそこが違う
— Masayuki Hatta (@mhatta) 2014, 10月 19
このサイト自体ではリーク情報を一般に開示しないので、ウィキリークスとは性格が異なります。「日本版ウィキリークス」とするのは誤解を招きやすい(ここ、結構重要です)→匿名リークサイト:12月に設立、公益目的の報道に活用 – 毎日新聞 http://t.co/XHK8FoWa54
— 尾村洋介 (@omurayosuke999) 2014, 10月 17
<参考>
- 日本記者クラブ会報2014年11月号〔PDF〕 ※18ページに八田真行氏の10月17日記者クラブゼミでの講演概要あり。
- 内部告発サイト来月始動/開設者・八田 真行さん「報道の意識向上が必須」(神奈川新聞ニュースサイト・カナロコ2014/11/14 10:00)
(初稿:2014年12月8日 12:23)