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カンタンな答 - 難しい問題には常に簡単な、しかし間違った答が存在する

2014-12-07

アベノミクス景気はいつ減速しはじめたのか?

日本は2012、13年と続けて経済成長率1.4、1.5%と年次で見ればまずまずの成長を遂げてきたが、足元では2四半期連続のマイナス成長と全く勢いをなくしてしまっている。

その原因については消費税増税とされることが多いが、一方で景気の減速自体は既に2013年第4四半期に始まっていたという主張がある。その主な論拠は2013年第4四半期の成長率が既にマイナス(前期比)になってしまっていたことであり、その場合、2014年の第1四半期がプラスになったのは単に増税前の駆け込み需要によるもので、そういった要因を除けば実質的には2013年第4四半期から2014年第3四半期までずっとマイナス成長にとどまっているという事になる。 

まあこれだけならデータ数が少なく何とでも解釈できそうだが同時期のOECD景気先行指数を見てみると、景気減速が2013年第4四半期ころから始まっていたという説明と非常によく合致することがわかる。

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筆者は何度も書いている通り、消費税増税は(或いは財政再建は)景気にとってマイナスになって当然だと思っているので、現状の景気が消費税増税にマイナスの影響を受けていることは全く否定する気はないが、絶好調だったアベノミクス景気が消費税増税の一撃で全てパーになったみたいな論説には問題があり、どちらかと言えば既に減速し始めていた所に消費税増税がぶつかったことによって各種数値が想定以上に悪くでてきているというのが実態に近いのではないかと考えている。


ちなみにタイトルでは便宜上「アベノミクス景気」としたが、OECD景気先行指数をアメリカ欧州(EU)のものと並べてみると、そのトレンドは概ね連動して推移していることがわかる。 そして日本の景気先行指数のトレンドは2012年中ごろには底をうって4Q頃から反転し、その後2013年にかけて景気拡張トレンドとなっているが、このトレンドは若干のタイミングのずれはあるものの日米欧に共通しており、日本のそれを全てアベノミクスによるものと言ってよいのかどうかは疑問が残る。

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一方、2013年の日本の景気先行指数は水準としては非常に強く、リーマンショック前の指数並みの水準を記録している。 よってトレンド自体は米国等と連動して安倍政権誕生前には既に反転していたとしても、2013年の指数の急上昇にはアベノミクスの影響が出ているとみることは可能かもしれない。

nono 2014/12/08 05:30 OECD指数の上昇が止まったのが2013年12月。
OECD指数の下落が始まったのが2014年2月。

反動が出る前から下がっているのは、駆け込みに対応するため1月に輸出が減急し輸入が急増したことや住宅着工数の反動減が出始めたから。またHPフィルターでスムージングしているため4月以降の下落が2月、3月と前の月の数字も下げるから。どちらも消費税の影響以外の何物でもない。

nono 2014/12/08 05:49 実際の景気はHPフィルターのように将来の下落がスムージングのために今に反映されることはなく、駆け込み対応のための輸出減輸入増は消費という需要項目になるので消費を勘案していないOECD指数と実際の景気は異なる。住宅も先行性があるのは着工だが、付加価値を生み雇用や景気と連動するのはGDPのように進捗の方でありこれは第2四半期に入るまで悪化していない。

消費税のような、一時的に大きな増加減少がありまた採用系列と採用外系列の関係性が通常と異なるような時期はOECD指数は原理的に不得手となる。そのOECD指数が2月から下がっていたから景気悪化は反動前から始まっていたとするのは無理筋。ましてその差が数ヵ月となると完全にスムージングの影響。

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