50年後の日本経済を展望する政府の「選択する未来」委員会は14日、最終報告書をまとめた。人口減を放置し、生産性も低迷すれば、2040年以降、年平均でマイナス0.1%程度の低成長に陥るとの試算をまとめた。一方で出生率の回復で人口減が鈍り、同時に改革を進めて生産性が上昇すれば、50年後も年1.5~2%程度の経済成長が実現するとした。
同委は経済財政諮問会議の専門調査会で、三村明夫会長(日本商工会議所会頭・新日鉄住金相談役)のもと1月から議論を進めてきた。会合後の記者会見で三村氏は「現状のまま何もしないなら厳しく困難な未来が待ち受ける。一方で現在我々が政策を講じることでより好ましい未来をつくることができる」と語った。
人口減を食い止めるため、国内総生産(GDP)比で1.35%にとどまる少子化対策の予算を20年ごろをめどに倍増するよう提言した。多くの人が活躍できる社会を目指し、30~40歳代の女性の就業率を5%(95万人増)引き上げるほか、65歳以上の就業率も3%(96万人増)引き上げるよう求めた。
生産性を高めるため「20年代初頭までに集中的に改革を実行する」とも提言。起業の活性化やイノベーション促進に向けた大学改革などを例に挙げた。三村会長は「今までの日本企業が収益をため込みすぎたのは事実」と述べ、技術革新に向けた投資や、積極的な事業再編に取り組む必要があるとも強調した。
三村明夫