慰安婦:米紙「安倍首相は火遊びをしている」

日本の歴史歪曲の動きを社説などで連日批判
「世界主義」を重視、日本の右派に強い拒否感

 米紙ニューヨーク・タイムズが4日『日本の歴史ごまかし(Whitewashing History in Japan)』と題する社説で、第2次大戦中の旧日本軍による慰安婦強制動員を否定しようとする安倍晋三首相に対し「火遊びをしている」と強く批判した。同紙は「旧日本軍が第2次大戦中、数多くの女性たちを強制連行し、広範囲な性的虐待に及んだことは、日本の学界の主流派も認めている歴史的な真実だ。真実を否定しようとする日本の右派たちに迎合する安倍首相の火遊びのため、被害国の中国や韓国だけでなく、米国も当惑している」と主張した。

 同紙は前日にも、1991年8月に元慰安婦の金学順(キム・ハクスン)さん(故人)の証言を報じた朝日新聞元記者の植村隆氏(56)とその家族が、日本の右翼から脅迫を受けているという記事を1面と国際面に掲載した。

 植村氏は今年初め、神戸松蔭女子学院大学の専任講師に内定していたが、右翼の抗議を受け、3月になって採用が取り消された。その後、北海道の北星学園大学の講師となったが、同大には5月以降、「植村をやめさせなければ学生に危害を加える」という右翼の脅迫が続いている。

 ニューヨーク・タイムズは以前にも、日本の右翼が慰安婦関連の歴史を否定しようとする動きを見せるたびに、東京発の記事や社説、外部の専門家の寄稿などを通じて批判してきた。先月16日には、ワシントンのシンクタンク「アジア・ポリシー・ポイント(APP)」のミンディー・コトラー所長が『慰安婦と日本の戦争についての真実』という寄稿記事で「中曽根康弘元首相が回顧録で『海軍中尉だった1942年、フィリピンやボルネオ島に慰安所を設置し運営した』と書いている」として、慰安婦を否定する日本政府の態度について告発した。その上で「国連安全保障理事会は安倍政権の歴史歪曲(わいきょく)に反対する姿勢を明確に示すべきであり、米国政府は女性の人権が外交政策の根幹だという点を日本に対し強調すべきだ」と主張した。

 米国の知識人層を代弁するニューヨーク・タイムズが、日本の右派による歴史歪曲に批判的なのは、肌の色や国家、政治理念に関係なく、世界の全ての人々が平和のために協力すべきだという「コスモポリタニズム(世界主義)」に立脚しているためだ。同紙は2004年「選挙でいつも進歩的な民主党の肩を持っている」と批判された際、世論担当のダニエル・オクレント記者がコラムで自らの編集方針を公開した。

 オクレント記者は当時「ニューヨーク・タイムズが人工妊娠中絶や同性結婚など社会的な関心事をめぐり、進歩的な主張をしているのは、わが社が設立され成長してきた基盤であるニューヨークという都市の特性によるものだ。世界のあらゆる人種が集まって暮らしているニューヨークは、コスモポリタニズムに立脚し、多様な階層、人種間の対立を解消してきた」と主張した。

ニューヨーク= 羅志弘(ナ・ジホン)特派員
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース