任天堂WiiUが3度目の正直か、年末商戦控え市場は強気に
12月8日(ブルームバーグ):業績立て直しを図る任天堂 の据え置き型ゲーム機「Wii(ウィー)U」が3度目の年末商戦を迎えるのを前に、市場の期待が高まってきた。
ブルームバーグ・インテリジェンスのデータ によると、少なくとも8人のアナリストが、任天堂の投資判断か今期(2015年3月期)の営業利益予想を10月末以降に引き上げた。人気ソフトによるUの販売改善に加え、新たに投入したキャラクターフィギュア「amiibo(アミーボ)」や円安の効果を見込む。
任天堂が2012年に投入したUは、ソフト不足から販売が低迷。前期(14年3月期)に3年連続となる営業赤字を計上した主因となった。クリスマスや年末は任天堂の売り上げの大半を占める最大の商戦期で、この時期にゲーム機やソフトが売れるかどうかで営業赤字から脱却できるかが決まる。
エース経済研究所の安田秀樹アナリストは、前期と比較すると「かなり改善できる見通しは立ってきた」と話した。また海外売上高の割合の大きい任天堂にとって、円安の追い風も期待できる、と述べた。安田アナリストは10月30日付で投資判断を中立(従来アンダーパフォーム)に引き上げた。
8日の任天堂株価は一時、前営業日比2.3%安まで下落した。5日終値との比較では、株価は11月以降、19%上昇し、東証株価指数(TOPIX)の同期間の上昇率(8.4%)の2倍超となった。任天堂広報担当の皆川恭広氏は投資判断や営業利益予想の引き上げについて、コメントしなかった。
スマブラUの普及に向け、任天堂は過去のシリーズで実績のある「大乱闘スマッシュブラザーズ」(スマブラ)を今回の年末商戦で投入。同社の発表によると、スマブラは米国では11月21日の発売から3日間で49万本が売れ、U向けソフトでは最速の販売ペースとなった。また決算資料によると、5月に発売された「マリオカート8」は、9月末までに349万本売れた。
Wiiの後継モデルとして登場したUは前期、当初900万台の販売を予定していたが、年末商戦で失敗し、実際は272万台にとどまった。他にも任天堂は後継機の導入で苦戦しており、現在は収益源となっている携帯型の3DSも、11年2月の投入後は苦戦し、発売から半年で値下げを強いられた経緯がある。
ライバルのソニーは「プレイステーション(PS)4」の販売を順調に伸ばしており、決算資料によると、13年11月15日に北米で販売を開始して以来、9月末までに1350万台売り上げた。PS4より1年早く発売されたUの9月末までの累計販売台数は729万台にとどまる。
スマートフォンでゲームができるようになったことで、ゲーム専用機をめぐる環境も変化した。任天堂にスマホ向けゲームの投入を求める声もあるが、任天堂は自社のゲーム機だけにソフトを供給する方針を崩していない。
11月に投資判断を中立から中立プラスに引き上げた岩井コスモ証券の川崎朝映アナリストは年末商戦について、「ヒットタイトルが続出する」と分析、「業績の改善具合が短期的に強まる」と述べた。一方、年末商戦後については不透明感があるとして、将来的にスマートフォン向けにゲームを提供するべきだという見方を示した。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 天野高志 tamano6@bloomberg.net;東京 Pavel Alpeyev palpeyev@bloomberg.net
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 天野高志 tamano6@bloomberg.net;東京 Pavel Alpeyev palpeyev@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Michael Tighe mtighe4@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 中川寛之, 淡路毅
更新日時: 2014/12/08 10:46 JST