真海喬生、細見るい
2014年12月8日11時12分
10月末の日本銀行の追加の金融緩和をきっかけに急上昇した日経平均株価は、この1カ月あまりで2400円近くも上がった。年金の運用成績が良くなるなど株高の恩恵は確かにあるが、直接的に利益を得られる個人は、実はそう多くなさそうだ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏は「日本は米国よりも株や投資信託を持つ人が少なく、株高の効果が消費に広がりにくい」と話す。野村総合研究所の1万人のアンケートをもとにした推計では、昨年8~9月時点で株式を持っている個人は約11%、投資信託は約9%にとどまった。日本証券業協会の調査でも、2012年10~11月時点で株式や投資信託、公社債などを持つ個人は約17%だ。
100万円までの投資の利益が非課税になる少額投資非課税制度(NISA)が今年始まったのも、投資家の裾野を広げようというねらいがあった。専用の口座数は6月末に727万人分に達したが、大半は投資の経験者。新たに始めた人は2割もいないとみられる。口座をつくっても、実際に利用している人は10月末で4割弱で、景気回復を示す指標とされる株価が上昇局面にあっても、個人が投資に積極的だとは言い難い。
株高の恩恵を一番受けているのはだれなのか。東京証券取引所などの調査によると、今年3月末時点ですべての国内株式のうち外国人が保有する比率(時価総額ベース)は30・8%と初めて3割を超えた。国内の個人投資家の比率が18・7%と、6年ぶりに2割を割り込んだのとは対照的だ。
機関投資家も含む外国人は、安倍政権が発足する直前の12年10月から昨年末まで一貫して買い越すなど、アベノミクスに期待して持ち株比率を高めてきた。財務省の8日発表の統計でも、海外に住む人による日本株への投資は11月、2兆6471億円の買い越し。昨年4月以来の大きさで、10月末の追加緩和を機に買いを加速させている。
足元の日経平均は安倍政権発足時より8000円近く上昇。多額の含み益を得ている外国人も多い。(真海喬生、細見るい)
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