東京電力福島第一原発事故を防げなかった組織の問題とは何なのか――。2012年7月に公表された国会事故調査委員会(委員長・黒川清東京大学名誉教授)の報告書を題材に、福島の高校生が考えた。

 11月21日、福島市の福島高校。教室に1、2年生15人が集まった。授業とは別の勉強会で、講師として元銀行員で国会事故調の調査統括補佐を務めた石橋哲さんが招かれた。

 報告書は事故の要因として「事故当事者の組織的問題」を一項目設けた。原子力安全・保安院(12年9月に廃止され原子力規制委員会に移行)などの規制当局は「事業者の虜(とりこ)となり国民の安全を守るには程遠いレベルだった」、東電は「リスクマネジメントの考え方に根本的な欠陥があり、近隣住民が危険にさらされている状況下でも体面を重視していた」と指摘した。

 報告書を読んだ生徒たちは班に分かれて自分の意見を出し合った。

 「大きな企業になるにつれて、ずれていってると感じる」「人が集まると必ず弊害が生じる」との発言に、ほかの生徒は「集まることで弊害が起きるのは良いことだと思う。(組織内で意見が)ぶつからなかったから、そのまま進んでしまったのではないか」と指摘した。