サブゼロ処理とは文字どおり0℃以下の処理を言います。処理は焼入れ直後に行い、サブゼロ処理後に焼戻しを行います。そして、サブゼロと焼戻しを数回繰り返します。
すると組織中の残留オーステナイト(γR)がマルテンサイトに変態します。併せて、結晶粒の安定化も促進されます。これにより置き割れ、置き曲がりなどの経時寸法変化の防止と耐磨耗性などの機械的性質が向上します。
この様子はX線回折装置(XRD)により簡単に測定することが出来ます。
焼入れ後の長時間放置、また焼戻しを行うとγRが安定化しマルテンサイトに変態を起こし難くなりますから手順には注意が必要です。
20年ぐらい前には、冷却溶媒としてアルコール中にドライアイスを入れて-70℃近傍の雰囲気を作っていました。今日では液体窒素を用いるので-150℃程度の雰囲気を容易に作ることが出来ます。
ドライアイス使用のサブゼロ処理ではγRをほぼ完全にマルテンサイトへ変態させるために5回以上のサブゼロ処理と焼戻しの繰り返しを必要としていました。
液体窒素使用のサブゼロ処理では繰り返し回数を多くとも3回で抑えることが出来ます。
SKD11の経時寸法変化データを以下に記します。
試験片:300×100×15mm
焼入れ温度:1040℃、焼戻し温度:500℃×2回、
サブゼロ処理:-150℃×2回
6ヵ月後の経時寸法変化100mmに付き1μm以下
三次元測定器の誤差以下
焼入れ温度:1040℃、焼戻し温度:500℃×2回、サブゼロ処理なし
6ヵ月後の経時寸法変化100mmに付き平均30μm
なお、以上の内容は吾々の実験環境での結果です。当然、使用機器により異なりますのでご注意下さい。
ご質問の仕上精度は推察するに、この経時寸法変化のことでしょうか?
利点は自動車メーカ、部品メーカなどの生産ラインにある順送金型の要求精度を無事に通過したことぐらいでしょうか?
一度などは3μm以下を要求されました。
欠点は、納期と熱処理コストの上昇です。液体窒素は想像以上にコストが嵩みます。
●質問者からのお礼
実際のテスト結果なども加えて頂き有難うございます。経験談があると分かりやすいです。サブゼロ処理とは0度以下(-85°C)で焼き入れ時にマルテン化しなかった残留オーステナイトを無くする方法です。残留応力が無くなりますのでゲージブロックなどで使われます。
●質問者からのお礼
ありがとうございます。サブゼロ処理については下記のサイトを参考にされるとよろしいのではないかと思います。
■参考URL
http://www.h3.dion.ne.jp/~geiji/sabuzero.htm●質問者からのお礼
ありがとうござます。
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